当たり前っちゃあ当たり前なのだけれど、
実行するのは半端ではない。
第一に、畳める風呂敷を用意するとこぢんまりしてしまう。
第二に、好きなだけ広げると畳めない。
物語というのは、
おおむね前半で風呂敷を広げ、
おおむね後半で風呂敷を畳む。
正確に言うと、畳むのは一気にやる方が面白いので、
前半のほうがやや長くなる傾向にある。
僕は、
最初に無茶な広げかたを沢山考えて、
畳める!と落ちが思いついたやつについて、
プロット段階へ進める。
そうすると一番骨の所が出来てるから、
畳み方が分かってるので、
それに対してまた大風呂敷を広げるように前半を考える。
で、それに応ずる畳み方も考えて、
以下繰り返して、
モノになりそうならプロットを清書したり、
執筆に入る。
で、執筆段階でも色んな風呂敷を思いつくので、
それはそれで書いてしまう。
執筆後半でその畳み方を思いつけばよし、
思いつかなかったら、リライトでその部分を切ればよい。
(この過程を経ないと、
前半に広げた風呂敷が畳まれない、
すなわち、張られた伏線が未回収になる羽目になる。
無駄な伏線や前ふりは、リライトで徹底的に草刈りしておくことだ)
一番骨の、前ふりと落ちが思いつかなければ、
風呂敷も広げようがないので、
まずそのコアが思いつくことだ。
なんとなくだけど、
真ん中にアイデアを置いて、
その前ふりと落ちで挟むようにすると上手くいく気がする。
てんぐ探偵の「お前は誰か」の、
真ん中になるアイデアは「七次受け」という異常状態だが、
(福島原発の除染バイトはこうらしい)
その解決は「誰かでない、自分自身であること」だ。
これを、「他の誰かと幸せになって」という前ふりと、
「名前を教えてください」の落ちで挟むと、
なんとなく骨格が完成するわけだ。
あとは好きなように風呂敷を広げ、
回収できなきゃリライトすればいいだけのことだ。
たとえば第一稿だと、
バスの中の運転手が誰か他の人に運転させている、
というシーンはなかった。
それを第二稿で書き加えて、更に風呂敷を広げたわけだ。
(旧サイト版では、初めて都会に出るという文脈で、
妖怪はいつからいるのか、という問答が重ねられたけど、
今回は初登場を兼ねるので、もう少し基本的な設定を前ふったわけである )
畳める風呂敷を用意しているか?
畳み方がバレるほどの小さな風呂敷になってないか?
二律背反である。
双方を兼ねることはなかなかに難しい。
だからこそリライトするのである。
(そういう意味で、僕は連載形式は苦手かも知れない)
2016年06月28日
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