2016年06月28日

風呂敷は、畳まなければならない

当たり前っちゃあ当たり前なのだけれど、
実行するのは半端ではない。

第一に、畳める風呂敷を用意するとこぢんまりしてしまう。
第二に、好きなだけ広げると畳めない。


物語というのは、
おおむね前半で風呂敷を広げ、
おおむね後半で風呂敷を畳む。

正確に言うと、畳むのは一気にやる方が面白いので、
前半のほうがやや長くなる傾向にある。


僕は、
最初に無茶な広げかたを沢山考えて、
畳める!と落ちが思いついたやつについて、
プロット段階へ進める。

そうすると一番骨の所が出来てるから、
畳み方が分かってるので、
それに対してまた大風呂敷を広げるように前半を考える。
で、それに応ずる畳み方も考えて、
以下繰り返して、
モノになりそうならプロットを清書したり、
執筆に入る。

で、執筆段階でも色んな風呂敷を思いつくので、
それはそれで書いてしまう。
執筆後半でその畳み方を思いつけばよし、
思いつかなかったら、リライトでその部分を切ればよい。

(この過程を経ないと、
前半に広げた風呂敷が畳まれない、
すなわち、張られた伏線が未回収になる羽目になる。
無駄な伏線や前ふりは、リライトで徹底的に草刈りしておくことだ)


一番骨の、前ふりと落ちが思いつかなければ、
風呂敷も広げようがないので、
まずそのコアが思いつくことだ。

なんとなくだけど、
真ん中にアイデアを置いて、
その前ふりと落ちで挟むようにすると上手くいく気がする。

てんぐ探偵の「お前は誰か」の、
真ん中になるアイデアは「七次受け」という異常状態だが、
(福島原発の除染バイトはこうらしい)
その解決は「誰かでない、自分自身であること」だ。
これを、「他の誰かと幸せになって」という前ふりと、
「名前を教えてください」の落ちで挟むと、
なんとなく骨格が完成するわけだ。
あとは好きなように風呂敷を広げ、
回収できなきゃリライトすればいいだけのことだ。

たとえば第一稿だと、
バスの中の運転手が誰か他の人に運転させている、
というシーンはなかった。
それを第二稿で書き加えて、更に風呂敷を広げたわけだ。
(旧サイト版では、初めて都会に出るという文脈で、
妖怪はいつからいるのか、という問答が重ねられたけど、
今回は初登場を兼ねるので、もう少し基本的な設定を前ふったわけである )



畳める風呂敷を用意しているか?
畳み方がバレるほどの小さな風呂敷になってないか?

二律背反である。
双方を兼ねることはなかなかに難しい。
だからこそリライトするのである。
(そういう意味で、僕は連載形式は苦手かも知れない)
posted by おおおかとしひこ at 00:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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