2016年07月03日

自己批評との闘い方

創作を途中でやめてしまう大きな力は、
「これは面白くない」である。

最後まで書いてから面白いかどうかを判定すべきであり、
途中でそう判断するのは早計というものだ。
(最後まで書いて面白くなかったとしても、
リライトで化けさせるやり方もある)

途中で湧いてくる疑念との、闘い方。


まず、どんな名作でも、
全部が全部面白いとは限らない、
ということを自覚することである。
名作だって滑ってるパートはある。
名作は、トータルで名作である、
ということをまず自覚しよう。

全教科100点を取ることを想定し、
減点法で自己採点してはいけない。

それでは、傷ひとつついたら良くないもの扱いになってしまう。
名作は、傷だらけである。
減点されるところは数多い。
それを補って余りある、
オリジナリティーの加点部分が凄いのだ。
そもそも自己採点を100点満点でやるからダメだ。
10点減点されても、560点加点されればいいのである。

芸術というのは、青天井採点方式を採用しているというものである。
加点されるところは、無限大加点というものだ。


あなたは、その無限大加点ポイントを、
きちんと面白くすればいい。
(そしてそれは、クライマックスの、問題が解決する瞬間のことである。
また、意味の確定する、ラストシーンでもよい)

その部分にたどり着くまでは、
多少の減点はやむを得ないと考えよう。
クライマックスが詰まらない、
ラストシーンがぐだぐだならば、
ほんとにそれは面白くないかも知れないが、
まあどっちにしても最後まで書ければ、リライトで面白くする手もあるわけだ。

逆にいうと、
全ての執筆点において、
あなたは、クライマックスやラストシーンの素晴らしさ、面白さを、
既に知っていなければならないということである。

ラストにこういうことが待っているから、
今これを書いているのである、
という相対性をもとに、
今の場面を自己批評することだ。

もし今書いている部分がたいして面白くなくても、
この場面がクライマックスやラストに必要だと思えば、
それを書ききることは可能だろう。
あとで面白くすることを考えればいい。

最悪なのは、ラストやクライマックスに必要でない場面なのに、
面白くないからといって挫折してしまうこと。
ただ書きたい場面だったり、
思いつきでつくったり、
なんとなく書いていると、
そういうことが起こりやすい。
空騒ぎになりがちで、意味なんてないものに。

その意味のなさに気づいて、自己批評がはじまるのだ。
これ面白いか?とね。
面白くなくても必要だ、なら、自己批評を黙らせられる。
面白くないし、必要かなあ、となってしまうと、
自己批評は全体に及ぶ。そもそもこの面白くない話を書く意味はあるのか、と。

つまり、全てのシーンが、クライマックスやラストシーンに論理的関係を持っていればよい。

直接的関係だけでなく、間接的関係でよい。
ストーリーの大きなポイントだけは、
直接的関係があるだろうけど、
殆どの小さな場面は、その大ポイントに関係するシーンになるだろう。
そういう関係図が頭のなかで出来ていれば、
自分を見失うことなく、
目の前のつまらなさに、ある程度耐えられると思う。

今はラストまで書ききること。
それを優先し、まずは第一稿をあげにかかること。
本番は二稿以降のリライトだし、
本番は撮影だし、
本番は編集だし、
本番は上映。
そう思えば、第一稿とは、まず最大加点ポイントをきちんと書くことが、
一番重要なことだとイメージ出来るはずである。


目の前の面白くないことは、
上位概念の構造を俯瞰するとよい。
面白くなくても、全体の関係性の構築を優先すべきだとわかるはずである。


また、強引な手があって、
「ここで面白いギャグを言い、二人はなごむ」
なんて書き方をして、先に進める、という手だってあるのだ。

二稿以降の宿題にしてしまえばいいのである。
(最悪な脚本家だと、キャストのアドリブに任せたりする。
それは脚本家の仕事の放棄であり、台詞を書く資格がないと思うべき)



油絵と同じだ。
部分をざっと塗って、
細部を詰めていく。
左上から描いていって途中でやめたような絵では、
どんなに左上が綿密にかかれていても意味がない。
まずは全体を作ることをすればいい。

(全体は出来たけど、面白くないやつはどうすれば?
クライマックスやラストシーンが面白くないやつは、放置。
クライマックスやラストシーンが面白いやつは、
あとはひたすら考えろ!
それもこれも、最後まで書いたから出来ることである。
プロは第一稿で発表しない。
最低5稿、多くて数十稿ぐらいは筆を入れ直して完璧にしているものだ)


小事にとらわれ、大事を見失うな。

それに尽きる。


そもそもこのホンを書くこと自体、
大きな目で見たら間違っていたのなら、
もっと書く意味のあるホンを、
新たに思いつくしかない。
最初の思いつきまで遡り、そもそも面白いかを問うといい。
それでもなお面白いと思えるなら、
自信をもって最初から書き直すといいよ。
posted by おおおかとしひこ at 14:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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