さっそくえんさんから質問箱に。
長くなりそうなので新記事で答えます。
>1.登場人物表の年齢の書き方
>数年間に渡る話の場合、登場人物は3つぐらいの違う年齢や職業で登場しますよね。
>そういう場合、登場人物表にはどう表現すれば良いのですか?
>また、シナリオ中、年齢が変わってから最初に登場したら又年齢を書く必要がありますか?
たとえば、
登場人物
高畑シンイチ(10、20、85)
なら、10歳、20歳、85歳のそれぞれの時代を等価に描くとき。(大河ドラマみたいに)
親切に、
高畑シンイチ(10歳、20歳、85歳の、三人一役)
と書いてもよいです。
高畑シンイチ(10)
高畑シンイチ(青年時代、老年時代)
などと表記すれば、メインは10歳で、あとはちょい役であることを示せます。
複数人物なら、
高畑シンイチ(10、子供時代)
綾部ミヨ(10、子供時代)
シンイチ(20、青年時代)
ミヨ(20、青年時代)
シンイチ(85、老年時代)
ミヨ(85、老年時代)
などのように、役者別に並べてもよいです。
登場人物表は読む人のためにではなく、
役者担当がきょうの弁当いくつたのめばよいか、
移動のためのバスは何人乗りか、
なんて数えるときにも使います。
役者の数がわかる方がベターです。
もちろん応募用のシナリオでは、単に習慣で書いているにすぎないので、
読者にイメージが伝わればなんでもOK。
文中では、
それまでのシンイチ(10)の話が飛んで10年後になったときは、
シンイチ(20)と書くだけでもよいし、
印象的にしたければ、
20歳になったシンイチ、空を見つめている。
なんて一芝居書いてもいいでしょう。
「役者が変わったこと」を読み手が見逃さないほうが親切です。
>2.その人物をわからないように(本当は誰か伏せて)登場させる時もフルネームと年齢を書くものですか?
>(例えば、影や手だけがうつるような場合)
いろいろ工夫があります。観客が分かった時点で初出、とすべきです。
たとえ顔割れやセリフを言ってたとしても。
たとえば。
黒い影の男、あやしげな動き。
警官「だれだ!」
黒い影の男「あやしいものでは」
と、逃げる。警官おもわず追って、つかまえる。
黒い影の男「いてててて!」
警官「なんだ、シンイチか」
黒い影の男(シンイチ・10)「そうだよ、俺だよ!」
警官「こんなところで何を」
シンイチ「実は怪しい噂を聞いてさ」
みたいにね。
>3.セリフ中の“?”や“!”の後は必ず1文字空けるものですか?
ふつうはそうです。
いつも迷うのが、
「これ何?って言うけどさあ」
みたいなとき。この場合だけスペース空けないですね、僕は。
縦書きで違和感がなければオーケーです。
!や?のあとのスペースは、句読点の代わり、と理解すればよいと考えています。
>4.“点描風に映す“という手法の使い方(ルール)がよくわかりません
>使い方のルールがあれば教えて下さい。
あまり聞いたことがないですが、多分こういうことでしょう。
渋谷の街を表現するとき。
女子高生たちが笑いながら歩く。
109にかかる三日月。
センター街でバンド演奏と聞く客。
派手なネオンサイン。
などでしょうね。モンタージュとも言います。
こういうのを、「渋谷のざわざわした風景をモンタージュ。」なんて一言で指示して、
あとは監督に任せたりするときにつかいます。
>また、そこに色んな場所が登場する場合、(シーンまるごと、時間の経過を表すために、点描風にする場合)柱には何と書けば良いですか?
○東京の夜(〜夜明け)
渋谷の女子高生たち。
山手線に揺られるサラリーマン。
歌舞伎町で暴れる酔客。
次第に、朝になってくる。
皇居を走るランナーや、ゴミをあさるカラス。
などのように、イメージしやすければOKです。
○様々な実景で、時間経過を示す
とか、
○時間経過
なんて強引な手もありますよ。
絵による表現は最終的なのは監督がやるので、
脚本上は、ストーリーの焦点のほうが大事です。
(逆に、焦点を見失わない点描をできる監督が、
脚本が読める監督ということです)
>5.映画とかを見ていると、ひとつの台詞を言っている間にどんどん場面(場所)が変わっていく手法がよく見られます。脚本ではどう書けば、そうなりますか?
二通りあります。
○家
俺 「明日があるさ明日がある」
○駅
俺 「若い人には夢がある」
○会社
俺 「いつかきっと」
○屋上
俺 「いつかきっと」
○飛び降りながら
俺 「わかってくれるだろう」
なんて順次書く方式。でもこれは読む人がだるいので、
○いろいろなシーンをつなげる
家、駅、会社、屋上で次々に歌う。
俺 「明日があるさ明日がある
若い人には夢がある
いつかきっと
いつかきっと
分かってくれるだろう」
最後は屋上から飛び降りながら。
なんてまとめる方がイメージしやすいでしょうね。
>6.カットバックの使い方(ルール)もよくわかりません。
>柱、柱、カットバックという流れですか?では3つの場面を行き来する場合は柱、柱、柱、カットバックでしょうか?それで読む人に理解してもらえますか???
ほとんど上と同じです。極端な例。
○A、B、C、Dがグループラインでトークする
A 「お前ふざけんなよ」
B 「ふざけてねえよ」
C 「そうだよ。Bは真剣なんだよ」
D 「まあまあまあ」
(それぞれがいる場所は、部屋や屋外など)
のほうがわかりいいでしょうね。
このルールが出来たときはケータイがなく固定電話だけだったので、
決まったルールはありません。
ミッションインポッシブルみたいな、
電話しながら移動しながら何かやる、しかも複数の場所をカットバックする場合なども、
これで書けると思います。
どこで話すかよりも、
何を話していて何が進行しているかのほうが、ストーリー的には大事かと。
こんな感じで分かりますでしょうか。
どれも記法上のことで、初心者本の原則にはないやつばっかりでしたね。
絵で示して分かるかどうかがポイントです。
読む人たちは映像表現に長けているので、
「ああ、だいたいアレのことね」と分かってくれるので、心配しすぎなくてもいいです。
分かりにくいけど面白いホン>分かりやすいけどツマラナイホン
です。
2016年07月12日
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ありがとうございます。
ずっと、悩んでいました。
稚拙ながらストーリーや映像は頭に浮かんでも、どうやって表現すれば良いのかわからないことばっかりで……。
ありがとうございます。
がんばってみます。