2016年07月14日

50時間までに、9割が脱落する

絵師の話だそうだけど。


絵を描くのには、まず根気が必要だ。
人を描くのだって、髪やポーズや服や背景は、根気がいる。
風景画なら尚更だ。

で、絵師を目指す人の話で見たんだけど、
殆どの人は、50時間やる根気が続かないんだって。

連続50時間の話じゃなくて、
継続して習い事をする、集中の問題。

一日2時間だとしても、
1割しか、25日連続で絵を描く生活が出来ない、
ということらしい。
週2だとしたら、
13週続かないってこと。

逆に、50時間根気の続いたやつは、
ようやく道の入り口に来たってことだ。

絵の話だけでなく、
多分殆どの「一人で何かを続けること」に共通しそうだ。
ダイエット。スポーツ。勉強。
筋トレ。新しい習慣をつくること。性格を直すこと。
そして、脚本を書くこと。


またカンフーの話をするけど、
中国拳法の入門者は、馬歩という基本姿勢(空気椅子に近い低姿勢)を、
一ヶ月やらされるって聞いたことがある。
それは、根気を見ているのだそうだ。

50時間空気椅子を、
連続ではなくともやり続けさせられることを、
想像するとよい。
(空気椅子1分でも辛いよね。
しかも正式な馬歩は、太股を地面と水平にして、
背筋を伸ばさなきゃいけない。
「酔拳」には、ジャッキーチェンが頭の上に杯を乗せられ、
背筋を伸ばさないと酒がこぼれて殴られる、
という入門トレーニングシーンがあるよ)

武術の修行なんて、地味なトレーニングを延々やることだ。
それに耐えられる根性、根気、集中力、モチベーション、覚悟、
そういうのを試験するのだと。

一ヶ月やらされる。
9割は脱落するのだろう。
しかし残った人は、恐らく本気でやれる人たちだ。
ついでに下半身の筋肉が、基礎トレとして既についている、
という合理性に、僕はこれを知ったとき感心した。
一番つけるの大変な筋肉が揃った所から、修行開始だなんてね。


で、50時間以内に9割脱落する、
という絵師の話を聞いて、
どこの世界も同じだなと思ったわけだ。
まあ、人間のやることだからね。


僕は昔読んだ漫画家入門みたいな本で、
「床に散らばったトランプを、
斜めパースから見た絵が、
正確に描けるデッサン力が必要」
というのを見て、その集中力や根気はない、
と諦めたことがある。

だから絵でプロになるつもりはなくて、
でも話だけはずっとやってきた感じだ。


何かに50時間捧げることは、
その何かで自分を満たすことであり、
それ以外の一切を諦めること。
世界からその分切り離される。
それは、途方もなく孤独だ。

あなたは、その1割に残るのかね。
ちょろっと昔脚本を書いてみたけど、よく分かんなかったよ、
という9割になるのかね。

どっちでもいい。
50時間たてばわかる。



(7/15追記:
この話題で検索してみると、スポーツの話とか、
いろいろなジャンルでのたとえ話に使われているようである。
どうもその元ネタはマイクロソフトのビルゲイツの談話らしい。
ということは、数字はわかりやすくするためのものかも知れず、
50時間9割という実際の統計的根拠はないかもだ)
posted by おおおかとしひこ at 12:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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