絵師の話だそうだけど。
絵を描くのには、まず根気が必要だ。
人を描くのだって、髪やポーズや服や背景は、根気がいる。
風景画なら尚更だ。
で、絵師を目指す人の話で見たんだけど、
殆どの人は、50時間やる根気が続かないんだって。
連続50時間の話じゃなくて、
継続して習い事をする、集中の問題。
一日2時間だとしても、
1割しか、25日連続で絵を描く生活が出来ない、
ということらしい。
週2だとしたら、
13週続かないってこと。
逆に、50時間根気の続いたやつは、
ようやく道の入り口に来たってことだ。
絵の話だけでなく、
多分殆どの「一人で何かを続けること」に共通しそうだ。
ダイエット。スポーツ。勉強。
筋トレ。新しい習慣をつくること。性格を直すこと。
そして、脚本を書くこと。
またカンフーの話をするけど、
中国拳法の入門者は、馬歩という基本姿勢(空気椅子に近い低姿勢)を、
一ヶ月やらされるって聞いたことがある。
それは、根気を見ているのだそうだ。
50時間空気椅子を、
連続ではなくともやり続けさせられることを、
想像するとよい。
(空気椅子1分でも辛いよね。
しかも正式な馬歩は、太股を地面と水平にして、
背筋を伸ばさなきゃいけない。
「酔拳」には、ジャッキーチェンが頭の上に杯を乗せられ、
背筋を伸ばさないと酒がこぼれて殴られる、
という入門トレーニングシーンがあるよ)
武術の修行なんて、地味なトレーニングを延々やることだ。
それに耐えられる根性、根気、集中力、モチベーション、覚悟、
そういうのを試験するのだと。
一ヶ月やらされる。
9割は脱落するのだろう。
しかし残った人は、恐らく本気でやれる人たちだ。
ついでに下半身の筋肉が、基礎トレとして既についている、
という合理性に、僕はこれを知ったとき感心した。
一番つけるの大変な筋肉が揃った所から、修行開始だなんてね。
で、50時間以内に9割脱落する、
という絵師の話を聞いて、
どこの世界も同じだなと思ったわけだ。
まあ、人間のやることだからね。
僕は昔読んだ漫画家入門みたいな本で、
「床に散らばったトランプを、
斜めパースから見た絵が、
正確に描けるデッサン力が必要」
というのを見て、その集中力や根気はない、
と諦めたことがある。
だから絵でプロになるつもりはなくて、
でも話だけはずっとやってきた感じだ。
何かに50時間捧げることは、
その何かで自分を満たすことであり、
それ以外の一切を諦めること。
世界からその分切り離される。
それは、途方もなく孤独だ。
あなたは、その1割に残るのかね。
ちょろっと昔脚本を書いてみたけど、よく分かんなかったよ、
という9割になるのかね。
どっちでもいい。
50時間たてばわかる。
(7/15追記:
この話題で検索してみると、スポーツの話とか、
いろいろなジャンルでのたとえ話に使われているようである。
どうもその元ネタはマイクロソフトのビルゲイツの談話らしい。
ということは、数字はわかりやすくするためのものかも知れず、
50時間9割という実際の統計的根拠はないかもだ)
2016年07月14日
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