2016年07月24日

【りょうさんへの回答箱】説明的にならず世界観を説明する

テクニック論ですが。

小道具を活用しましょう。


設定を説明するとき、設定だけを説明してはだめです。

たとえば、
「電界と磁界の振動により分子運動を強制的に起こす」と説明するよりも、
電子レンジでお弁当をあっためるとよいのです。


ファンタジーだろうが、現実ベースであろうが、原則は同じです。
百聞は一見にしかず、を利用します。

基本、人は説明を聞きたくありません。
でも、「そこで起こること」は見てしまいます。
もし不思議なことが起これば、それはどういう原理だろう、と思いますからね。


さらにできるなら、
「その小道具を使って、本編にからむエピソードとする」のがよいでしょう。

たとえば、カップルでそのあたたかいお弁当を食べようとしたのに、
落としてしまう、という印象的なエピソードをつくっておき、
伏線にしておくなど。


「ズートピア」では、
ジュディのニンジンペンがとても効果的な小道具として使われています。
メモ用と録音用、という二役のずるい道具ですが、
「ひとつの小道具」なので、うまいなあと思いました。

登場人物とからむこと。
さらにベストは、ストーリーにからむことです。

ちなみにズートピア駅を降りた瞬間、
どのように「いろんな動物たちが暮らしている」
という世界観をセットアップしたでしょうか。
自分でアイデアを出してみるのもトレーニングになるでしょう。
(色んな動物が暮らしている、ということは、
人種のるつぼ=NYの比喩であり、
つまりは人種差別というこの物語のテーマに直結するわけです。
ただ面白いからその世界観を作っているわけではないのです)


>また第一幕ではどれくらい世界観を伝えることができればOKなんでしょうか。
最低限こういうことは伝えたほうがいい、という要素があれば

最低限は、0がいいと思います。
そこから、何が最低限必要な世界観かを、吟味しましょう。

直後のストーリーに必要な説明だけを選りすぐらないと、
どれだけ世界観が魅力的でもストーリー進行のさまたげになるでしょう。


逆に。

その世界観を、主人公がたっぷり楽しむところはどこ?
そういう文脈なら、たっぷり説明すればするほど、気持ちいいですよ。
(おそらく、スペシャルワールド突入の、二幕前半部の確率が高い)

ちなみにズートピアでは、
「新しい街に引っ越す」という文脈を使って、
ジュディのワクワクと世界観を知るワクワクを一致させています。
よくある手ですが、巧みです。
これが二幕前半だと遅いでしょうね。
posted by おおおかとしひこ at 21:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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