ここでいう短編は、練習用に書くショートのことである。
5分、3分、長くとも15分
(それぞれ原稿用紙5、3、15枚、すなわち2000、1200、6000字)
のものを言う。
実際には需要がないが、
ネットシネマに需要があるかも知れない。
短編は、10本も書けばわかるけど、
思ったより難しい。
上手な省略が鍵である。
初心者は、なんでもかんでも全部書こうとする傾向がある。
頭の中の想像を外に出すことを、
最初にするからだろう。
だが、それは最初からちまちま段取りを収録しているに過ぎない。
現実にカメラをダラダラ回しても、
見るべきところはオイシイ所のはずだ。
編集が行われるはずである。
ということで、編集とは省略のことである。
オイシイ所を中心にすえる。
それを理解するのに必要な情報だけを与える。
こうして、ダラダラ語ることなく、
ズバリと本題から入れるわけだ。
初心者は、舞台を設定して、主人公を紹介して、
そこからようやく事件が起こる段取りで書いてしまう。
勿論、最初の何本かはそういう練習が必要だ。
自転車をまっすぐ走らせる基礎技能みたいなものだ。
だけど現実には、
オイシイ所からはじめないと、
短編はすぐ終わってしまう。
オイシイ所からはじめて、
不安定な事件の進行と同時に、色々を設定するのがモダンだ。
いや、短編では設定すら省略するかもだ。
○○な男が、という所を、
男が、としてしまうことで、
話の芯だけを露出させられるだろう。
短編では、感情移入する前に話が終わる。
(少しばかりの感情移入はあるかも)
ということは、感情移入というものは、
15分とか、ある程度長いこと一緒にいないと難しい。
隣人に愛情がわく、みたいなことも含みである。
はじまりだけでなく、
展開部分、落ちも省略を効かせて、
なるべく語らずに語ること。
一番大事な所だけ描き、他は省略することだ。
そうじゃないと尺に入らない。
結果的に、省略が強制される。
これが短編で練習する、いい部分である。
省略を体が覚えるのである。
普段なら10分かかるシーンを、3分に凝縮して描けるのである。
これは長編になっても役に立つ考え方だ。
キレ、と一般に言われる部分である。
(一応書いておくと、長編には長編なりの省略があり、
短編のものをそのまま持ち込むことは出来ない。
短編の時間スパンと長編のそれは大きく異なるからだ。
多くのCMディレクターの映画の失敗は、
僕も含め、この時間スパンと問題の太さを見誤ったことに起因すると思う。
しかしナカテツはいいよなあ。下妻に至るまで、
2本も失敗出来たんだもんな)
短編のキレは、段取りの省略だけではない。
人物や、事件のキレもある。
長編ならダラダラと増えてしまう人物を切り詰めたがゆえのキレ、
長編なら事件の全貌を描いてしまうところを、
一部しか描かないことによるキレ。
(逆に、キレのある短編を長編化すると、
人物が増えて、事件がまだるっこしくなるだけだったりするよね。
短編のキレに対して、長編のコクや、長編ならではのキレが、
なかなか上手くいかないんだよなあ)
長編には直接応用できないことを分かってさえいれば、
短編を沢山書く経験は、確実に身になる。
ということで、夏休みもはじまったことだし、
一日一本書くか、プロットでも作るのはどうかな?
書く経験を身長分積むノルマを、コツコツやろうぜ。
2016年07月25日
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