そういえば、20年前、
僕が映画を志して映像業界に飛び込んだころは、
「映画は10本つくって1本当てて、 トータルで回収するもんだ」
なんてことを良く聞いたものだ。
あれ?今リクープラインとか言ってるよね?
なんで一本単位でひいこらやってんだ?
たとえばナカテツが出世作「下妻物語」をものにするまでには、
「夏時間の大人たち」「ビューティフルサンデー」
という二本の失敗作があった。
(黒歴史的になってるけど)
映画ってのは、そういうおおらかな失敗を認める土壌でしか、
全力でスイング出来ないと思う。
当ててデカイホームラン狙いというか。
20年前にCMディレクターは、
4割ヒットを出せればスターだと言われた。
今1本外れを引いたら干されやすい。
いつから、失敗を許さない社会になったんだろうか。
映画を一本やってこけたら終わりなんて、
そんな分の悪い博打はないよね。
三本ぐらいやって調子を見るということも、
もはやなさそうだ。
たとえば制作費3億。
PAに6億。
リクープライン9億。
それと、10本30億。
PAに60億。
リクープラインは10本で90億。
小さいビジネスのほうがびびらざるを得ない。
(リクープラインを下げる為にPAを削り、
それで認知が出来ず動員も減り…という負のループも)
巨艦はもういないのかも知れない。
そういう映画会社は皆倒産したのかねえ。
こういう巨艦主義が出来なくなったのは、
バブル崩壊後の話なのかね。
僕は理系なのでそのへんが良くわからない。
唸るほどの金を外れ覚悟で豪快に回すやり方で、
映画は名作を作ってきた。
映画ファンなら、どれだけクソハズレがあるか知ってるよね。
(クソゲー連発だけど名作もあったゲーム業界と、
少し似ているかも知れない)
いつの間にか、失敗を許さない社会になってしまった気がする。
三本やってみてから判断ですよ、なんて話は聞かない。
こういう今、名作を作ることは出来るだろうか。
脚本だけなら作れそうだから、
僕は今日も書くけれど。
すまん、日記みたいになってしまった。
失敗してもいいから、沢山書くのだ。
そもそも、人の書くものにはばらつきがあるのだから。
2016年07月26日
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