2016年08月06日

【日記】特撮技術の解明

シンゴジラの1カットが凄く出来が良くて、
最近見た先輩とコンポジットの技術について語っていたのだが、
やり方を思いついたので、合成技術として書き記す。

以下シンゴジラネタバレ。


問題のカットは、
「東京脱出のため、高速道路にバスが大渋滞」
のカット。

仮説0:リアルに撮影。
バス何台貸しきればいいんだ?
それはないね。


仮説1:
高速道路を撮影、モデリングしたCGバスを大量におく。
問題点:リアルにCGが馴染みにくく、浮く可能性大。

実写とCGを馴染ませるのをコンポジット作業といい、
CGを主張する先輩は、コンポジッター凄いなあ、
と話していた。

物体は、本来の色がカメラに写るのではなく、
まわりのものの影響を受けた色がカメラに写る。
極端に言うと、夕方の中のものと、昼間のものの色は、
カメラに写る色が全然違う。
晴れの時と曇りの時でも全然違う。
湿気によっても全然違う(特に高速道路が長いので、
空気遠近法が無視できないレベル、
バスの排煙も絵に影響するレベル)。
また、強い光の天気だったから、
アスファルトからの反射光、隣の車からの反射光も、
コンポジットでは作る必要がある。
いかにもCG乗せました、みたいな絵に見せないためには、
結構な腕がいるわけだ。



仮説2:
GWなどに渋滞素材を撮っておき、そこにバスCGを被せる。
1よりも、バスの大体の大きさや角度、
空気遠近法を合わせやすい。
ないものをあるように見せるより、
あるものに似せることのほうが手間は少ない。
だけど、コンポジットに必要な腕は同じだ。



で、正解と思われる方法。

高速道路が流れる時間帯を狙う。
1.バス4台を借りきり、全車線を同時に走行。
4Kハイスピードカメラで、画面奥に行くまでフィックス長回し。
2. 次にワンサイズ寄って、
本来使いたいカメラワークで空舞台を撮影。

1で止めゴマを作り、停止したバス素材を増殖させる。
(止めゴマじゃなくて、ゆっくり渋滞を動かす表現の為に、
ハイスピードカメラで抑えておく)
競技場の観客席を増やすやり方と同じだ。
(ちなみに、風魔霧幻陣はそうやっているよ)

さて、一般にこれは「増殖」と呼ばれるやり方だ。
背景が同ポジションのときに使えるテクニック。

これにはひと手間かかっていて、
ニュース映像のようなカメラワークが追加されている。
2の素材からカメラワークの動きをトラッキング抽出して、
元素材を2〜3倍に拡大したものを動かせば完成。
寄っても安心なように、大きめの4Kで撮っておく、という寸法だ。

フレームやインフェルノを使わずとも、
手間さえいとわなければアフターエフェクツ(マスクぎりはフォトショかな)で可能な合成だ。

僕の写真記憶によれば、
同型のバスばかりなのが気になっていたのだが、
この方法でやったのなら説明がつくな。

あ、あと、
3. 入り口に集中するバスの素材も撮る。
何カットかに分けるか、 手前はCGかも。
(何回も撮ると太陽が動くので、
目立たない端のほうがCGかも)
も必要だね。

たしか高速道路は、
実質の合成台数を減らせる構図になっていたと思う。
(一直線までずっと奥まで、ではなかった。
奥が上り→下りになっていたか、カーブしていたか)


なかなかの特撮ぶりだ。
これなら、5Dや7Dとアフターと、タクシー4台貸しきれば、
似たような絵を作れるぞ、自主映画やろうども!
posted by おおおかとしひこ at 14:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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