2016年08月14日

小道具の使い方の上手さと名ラスト(ミッドナイトラン批評)

大昔見たので全く覚えていなかった、
「ミッドナイト・ラン」を改めて見た。
いやあ傑作だ。
小道具の使い方がめちゃくちゃ上手い。
伏線と小道具をここまで上手く使いこなしてる映画は、
最近ないんじゃないか?

以下、未見の人にネタバレしないように書く。



サングラス、古い腕時計、
飛行機恐怖症、フロッピーディスク、
偽20ドル札、紙袋の食料と牛乳、
そもそも偽FBI身分証。
あとポラロイドカメラとか、手錠とか鍵とかも。

小道具は伏線に使いやすい。
Aに使っておいて、
Bに使うときに、ワンカットで済むからだ。
このスピード感が、あっと言わせる間を生む。

ラストの名台詞も、
見事に前の文脈とは違う文脈として使っていて、
ああ上手いなあと、感動しながら思った。


俺が見たのは多分日曜洋画劇場の吹き替え版だと思われる。
DVD未収録で、吹き替え映画の最高峰と言われるらしい。
ううむ、そっちも気になってきた。

ケータイもスマホも監視カメラもない時代の、
大雑把な感じがとても懐かしい。
80年代ってこうだったよなあ。


見ながら、ああ、三幕構造がしっかりしていて、
分かりやすいなあと感じた。
時計は見てないけど、体感で1:2:1の構成にしていた。

とにもかくにも名ラストだ。
こういう粋な話を自分が書くとしたら、
と彼我の差を感じる傑作である。

アメリカはこれもコメディにジャンルわけするらしい。
バックトゥザフューチャーも、ゴースト〜ニューヨークの幻も。
アメリカのコメディは奥が深い。
posted by おおおかとしひこ at 17:06| Comment(2) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
大岡様 私もミッドナイトランを観ました。いい映画を観たなあ、と心から思いました。(この監督のビバリーヒルズコップも大好きです)この映画に出て来るのはほとんどが男であり、それも中年であり、恋愛要素は皆無(主人公の元嫁と娘は出てきますが)絵的にはむさいかもしれません。しかし、焦点を絞り、物語の面白さで勝負をしたところが傑作になった要因だと思いました。もしも現代にリメイクしたら、中年男ばっかりじゃ受けないという作り手側の判断で、主演は若くて、美形で、恋愛要素を入れ、アクションはCGを使ってど派手に、というものになりそうですね。
Posted by すーざん at 2016年10月11日 00:46
すーざん様コメントありがとうございます。

「ノッキンオンザヘヴンズドア」が、
ドイツのオッサン二人の話から男女の逃避行に、
改変リメイクされていて、分かってねえなあと思ったものです。

「売れると思うものを売るのではなく、
買いたいと思うものを売れ」と申します。
魂の入ったものをちゃんと売る力が、今の興行体制にあるのかなあ、と疑問です。
マスコミの体制も含めて。
Posted by おおおかとしひこ at 2016年10月11日 09:47
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