なんて、CMの編集では良く言う。
編集作業をやってると、動体視力が上がり、
あるカットが1秒しかないのに2秒に見えたりする。
初見だと見切れないほどなのに、
なんどもなんども見てるから、見慣れてしまい、
これでもかこれでもかと詰め込み、
結果、初見だとなんだか分からなくなってしまう。
まれによくある現象だ。
脚本も、
何度も書き直していると動体視力が上がってしまう。
思ったより伝わってないのに、
伝わると思い込んでいたり、
十分伝わるのに、足りないと思い込んで、
色々な要素を足していったり。
つまりはそれは、客観的になることが難しい、ということだ。
ずっとそればっかり見てるから、
他が見えなくなってしまうのだね。
こういうときは、一回寝よう。
CMの編集でもそうだけど、テレビをつけて別のCMを見たりする。
適切な尺に、適切な情報が、塩梅よく入っているかの、
感覚をリセットするといい。
後輩の監督で、「編集の間に必ず寝る」というのもいる。
一回忘れてリセットし、知らない人の目で見るためである。
長編ほど、これに似たことをするのは難しい。
一晩寝たぐらいじゃ、なかなか「そこにどっぷり浸かっている」感覚は離れないからだ。
二、三日離れるのは当然としても、
別の映画や別の小説を、二、三本見るのはオススメだ。
スピルバーグは、年に何回か見る映画があるそうだ。
それを見ることで、自分の感覚をリセットするんだろうね。
自分の作品じゃなくて、他人の作品を見るのがいいと思う。
(自分のだと、これを超えたい、とか欲が出るから)
とくに、リライトをしすぎると、
話がわかっている前提で直しを入れてしまうことが良くある。
原作つきなら、尚更かもだ。
それを初見で見る目線で見ること。
これを確保するのは、実は一番難しかったりする。
「今自分は動体視力が上がっているな」と自覚出来る、
つまり、「今自分は、今ある以上の情報で、次を予測して準備している」
ことを自覚したら、しばらく作品から離れてみることをオススメする。
2016年08月23日
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