2016年08月23日

動体視力が上がる

なんて、CMの編集では良く言う。

編集作業をやってると、動体視力が上がり、
あるカットが1秒しかないのに2秒に見えたりする。
初見だと見切れないほどなのに、
なんどもなんども見てるから、見慣れてしまい、
これでもかこれでもかと詰め込み、
結果、初見だとなんだか分からなくなってしまう。
まれによくある現象だ。

脚本も、
何度も書き直していると動体視力が上がってしまう。


思ったより伝わってないのに、
伝わると思い込んでいたり、
十分伝わるのに、足りないと思い込んで、
色々な要素を足していったり。

つまりはそれは、客観的になることが難しい、ということだ。
ずっとそればっかり見てるから、
他が見えなくなってしまうのだね。

こういうときは、一回寝よう。

CMの編集でもそうだけど、テレビをつけて別のCMを見たりする。
適切な尺に、適切な情報が、塩梅よく入っているかの、
感覚をリセットするといい。

後輩の監督で、「編集の間に必ず寝る」というのもいる。
一回忘れてリセットし、知らない人の目で見るためである。



長編ほど、これに似たことをするのは難しい。
一晩寝たぐらいじゃ、なかなか「そこにどっぷり浸かっている」感覚は離れないからだ。

二、三日離れるのは当然としても、
別の映画や別の小説を、二、三本見るのはオススメだ。

スピルバーグは、年に何回か見る映画があるそうだ。
それを見ることで、自分の感覚をリセットするんだろうね。

自分の作品じゃなくて、他人の作品を見るのがいいと思う。
(自分のだと、これを超えたい、とか欲が出るから)



とくに、リライトをしすぎると、
話がわかっている前提で直しを入れてしまうことが良くある。
原作つきなら、尚更かもだ。

それを初見で見る目線で見ること。

これを確保するのは、実は一番難しかったりする。

「今自分は動体視力が上がっているな」と自覚出来る、
つまり、「今自分は、今ある以上の情報で、次を予測して準備している」
ことを自覚したら、しばらく作品から離れてみることをオススメする。
posted by おおおかとしひこ at 11:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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