2016年08月20日

書きたいシーンはいくつあるか?

そもそもうまく書けない人は、
書きたいシーンが溢れすぎているのかも知れない。


書きたいシーンはいくつあるか?
僕は、ひとつの話でひとつでいいと思う。

バトルシーン、お色気シーン、冒頭のワクワク、友情シーン。
色々書きたいものを妄想するのはとてもいいことだけど、
そんな妄想を「つぎはぎする一本の線」を捻りだそうとするから、
「つぎはぎする話」しか思いつけないのである。
それじゃギクシャクする話にしかならない。

作り方が違う。

お話とは流れるように進むもので、
あるものとあるものを繋ぐために作るのではない。
それは屁理屈やご都合や無理を生むのだ。


書きたいシーンはひとつにしなさい。
他の書きたいシーンは、別の話に仕立てなさい。
書きたいシーンが10あるなら、
10本の話に割り振りなさい。


映画一本にあるシーンは50から100ぐらいだ。
書きたいシーンが10あるとしたら、残り40から90を穴埋めすることを考えるのだろうか?
そうではなくてひとつだけ大事なシーンを温めておいて、
ひたすら書いているところに、
満を持してそのシーンを持ってくるのである。

残り49から99のシーンは、どうやって書くかって?

事件と解決という大筋から考えて作る人もいるし、
テーマから考える人もいるし、
目的と行動から考える人もいるし、
作品によって変える人もいる。
創作というのは毎回オーダーメイドなので作り方も毎回違って当然。
とにかく、全体像が見えるように作り始めたほうがいい。


あることが起こった。次はどうなる?
その次はどうなる?その次は?
何を言い、何をする?何のために?
そしてその次は?
途中で別のことが起こる?最初に起こったことと関係ある?
そして次は?

お話とは、そういう関連を書いていくことだ。
関連を書かない限り、話を書いたことにはならない。

「書きたいシーン」は、シーン単独で存在する。
関連が存在しない、ただのシーンだ。
だから関連づけの糸とは独立して存在する。
関連づけこそが話を書くことだとすると、
どことも関連してない独立シーンは邪魔なんだよね。

これが、「書きたいシーンを沢山妄想し、
その間を埋めるストーリーを捻り出す」やり方が上手くいかない理由だ。

どうやったってぶつぎれの糸にしかならないんだ。
面白いお話ってのは、強力な糸が何本も絡んで束ねられるようになっているものだ。


どんなにそのシーンが大発明で歴史に残る名シーンだとしても、
残り49から99のシーンがあってこそである。

書きたいシーンはいくつあるか?
あなたはアプローチを間違えている可能性がある。
書きたいシーンをひとつに絞って、
他を捨ててからはじめることはどうだろう?

あるいは、書きたいシーンがなくても、お話を作ることは出来る。
「書きたいシーンを書くことを、書くモチベーションにしない」
というアプローチも検討してみてはどうだろうか。
(たとえば、この話がどう決着するかを見てみたい、など)
posted by おおおかとしひこ at 12:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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