感情移入について深く掘ってみよう。
感情移入は面白げなシチュエーションを描くだけで起こるか?
否だ。
プラス、その人の感情を描くことが必要だと思う。
「そこからどう脱出するか、見てみたい」
と「興味」を持つのが感情移入の初手であった。
しかし、その興味はさして持続しない。
「自分ならどうするか」を想像し始めるからだ。
その時主体は観客自身になってしまい、
主人公でなくなってしまう。
そのシチュエーションで、
主人公がどう感じるか、
ちゃんと反応や思考や感情を書こう。
それがリアリティーがあり、
誰もがそう思うだろうことを思えば、
つまりその瞬間、
主人公と観客の感情がシンクロしたと言うことだ。
(リアリティーがなかったり、真に迫っていなかったり、
陳腐だったり、浅かったりすると、
嘘臭く、感情はシンクロしないだろう)
モテ講座でよく出てくる、感情のシンクロ効果である。
同じ瞬間同じ感情になれば、
親しみが湧くのである。
一旦親しみが湧けば、
仮に「自分ならこうする」があったとしても、
主人公なりの行動を見れば、
成る程と思ったり、
自分じゃ出来ないけどこの人なら出来るかも、
と思ったりして納得できるはずだ。
(「主人公なり」がそれまでのセットアップになければ、
なんか無理があると思うだろう)
感情豊かなキャラクターのほうが感情は描きやすいが、
必ずしもそうである必要はない。
寡黙な人がふと見せる感情のほうが重みがあったりする。
その伝達方法は個々に任せるとして、
大事なことは、
その感情が、私たちとシンクロすることである。
ある意味、こういうとき普通の人はどう感じるか、
が把握できていないと、
そのシンクロは難しく、
一方的な情報提示すなわち押し付けになるだろう。
主人公の感情が、観客の感情と、
表面的な部分ではなく、深いところで一致すること。
これが感情移入の第二条件かも知れない。
それは深いところで一致すればよく、
表情や行動に派手に出さなくても、
「こいつムカつく」ことが一致すれば、たとえばOKだ。
(勿論派手な表情や行動に出してもいい)
具体的にどうやるかは、
なかなか言葉で説明しにくい。
個々のケースで、としか言いようがない。
最初は、観客が先に思うことを主人公が思うことで、
感情のシンクロが起こる。
そのうち、主人公が先回りした感情を、
あとで観客が思ったりする。
最後のほうは、同時に感情が動くだろう。
それが感情移入だ。
感情を出したり、思考を表現することは、
心理描写、と言われることもある。
映画は一人称ではなく三人称だから、
独白や地の文は存在しない。
他の人への働きかけや、リアクション(行動)でしか、
感情を表現できないことに注意されたい。
初心者は、ただ笑う顔や悲しむ顔で、
感情を表現しようとする。
言動の中に感情を込められれば、表現のレベルが上がったことになる。
さらに上は、感情を抑えたことで感情を表現することだろう。
2016年08月25日
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