2016年08月30日

クライマックスから逆算してみる

大体プロットが出来た、と思えるときにやってみると良い。


そのクライマックスは、何を争うのか?
何を得たらゴールか?
つまりセンタークエスチョンは何か?
その達成によって、どのようなテーマが確定したといえるのか?

センタークエスチョンが問われる、
第二ターニングポイントは、どんなシーンか?
静かなシーンか?激しいシーンか?
どういう形でセンタークエスチョンが問われ、
どういう種類の緊張が漂うのか?
リスクは何か?
主人公が勝利しない場合、何が失われるのか?
具体的な何かか、抽象的な何かか?

どういう展開で第二ターニングポイントへ突入するのか?
そこへのストーリーラインを整理すること。
それぞれの思惑(そもそもの目的が現在どうなっていて、
最終に向けてどのように思っているか)をリストアップしてみること。

中盤の展開は色々あるだろう。
整理しきれないぐらい多いかも知れないし、
全然足りてないかも知れない。
ある展開の前の展開はどうなってるか?
詳しく決まっていないなら、イベントの羅列でも構わない。
そこでどんなことが起こり、
「後戻りできない」ポイント(決定とか事件とか)に印をつけよう。

その全体像における、ミッドポイントは何か?

量的真ん中は意識しなくていい。
意味的な真ん中を意識してみよう。
つまり意味的な真ん中に対して、
前後の量をあとで調整するためにミッドポイントを決める。

ミッドポイントの基準は、ブレイクシュナイダーの、
「かりそめの勝利または敗北」が分かりやすい。
劇的なターニングポイントであり、
中盤前半の文脈と中盤後半の文脈が真逆になるようなポイントがあれば、
それがミッドポイントだ。
(例:快進撃→どん底、期待→失望、謎→箔が落ちる、無理→いける、
などなど)

もしなければ、そういう劇的な展開を用意するアイデアはあるか?
そこに登場人物の誰がどう関わり、
サブプロットのどの時点がそのミッドポイントに相当するだろう?

二幕前半で起こることを整理しよう。
第一ターニングポイントは何か?
センタークエスチョンが明らかになり、
それが問われるポイントを探そう。
なければ、ここでセンタークエスチョンを問うべきだ、
と修正しよう。
第二ターニングポイントでのセンタークエスチョンを、
そのまま問えるとは限らない。
第一ターニングポイントでのセンタークエスチョンは、
まだ形が曖昧かも知れない。
(例:
第一:生きて帰ることが出来るのか?から、
第二:○○大佐から○○の鍵を奪えるのか?などに、
とても具体的になることがよくある)
この時点では二幕の冒険はまだしてないし、
二幕で得られる知識や経験もしていない。
あくまで最初の日常から冒険への境目としての、
センタークエスチョンであることを意識しよう。

第一ターニングポイントが決まれば、
中盤の展開が整理できる。

中盤の展開を、
第一ターニングポイント、ミッドポイント、第二ターニングポイントを固定して、
その間の増減を意識してもいいし、
ストーリーを固定し、
第一ターニングポイント、ミッドポイント、第二ターニングポイントを、
別のシーンに変えて調整してもよい。
後者を試行錯誤しているうちに、
段々シーンの役割がわかってきて、
前者になってくるはずだ。

これは最後まで試行錯誤する可能性がある。


では、第一ターニングポイントより前の、
序盤は、何がどう設定されているべきだろうか、
逆算で整理しよう。
沢山ある。
沢山あるから、日常をダラダラ描いてる暇などないと、
実感できるだろう。
主要登場人物の誰と誰をいつ登場させるかも難しい。
この時点に至って、
登場人物の数を減らすことも検討したほうがいいかも知れない。
経験上、主要登場人物は5、6人だと思っている。
それ以外は沢山出ても、脇の脇にしておくべきだ。
登場はトータルでも数シーン程度になるだろう。
それは、主要登場人物にフォーカスするためだと覚悟しよう。

主人公の人生のどこから始めたら、
このストーリーをうまく語れるだろう。
一日前でも一日あとでもダメだ。
ちょうどいい日からはじめるべきだ。
数時間、数分ずれても、語り始めに相応しくないかも知れない。
あるいは、主人公の日常を紹介しながら主要登場人物や主要設定をうまく見せる方法はあるか、
ごっそり変えるつもりで検討してもいいかもだ。

そもそも、
ファーストシーンは何か?
テーマの何を暗示しているのか?
このシーンとラストシーンを結んだら何が生まれるのか?
ラストと対になれるファーストシーンが理想だ。


あなたのストーリーの、
何が出来ていて何が不足していて、何が多すぎるか、
このような整理の仕方をしていくと、
分かるかも知れない。
因果関係の逆を見てみるのである。

数学の証明を逆から辿ることをしたことある?
なければ必死にイメージしたまえ。
全ての理屈は逆算できる。
(数学の証明には、みんな大好きな伏線すらあるよね。
「1、2より3が成立」をするために、
2と1をやったりするよね)


結論はこうだ。何故ならこうだからだ。
それが言えるのは、前にこうだからだ。
それが言えるのは…
…最初にこうであったからである。
という形式に変換できるはずである。

そこの理屈に無駄なものは不要だし、
そこの理屈に飛びがあれば不足があるということ。

じっくり考えて、埋めたり削ったり、
変形したりしていこう。




時系列のカレンダーを作るのもおすすめだ。
それは何日、何週間、何ヵ月、何年に渡る話か?
その日程表、必要なら時間表も書き出そう。
何月何日、と指定してもいいし、
何曜日、だけを指定してもいいし、
何日目、だけの話かも知れない。

その日程表を眺めていれば、
あるシーンと別のシーンを、全く別のシーンに書き換えるアイデアが出やすい。
たとえば、
平日だけで苦労していたのを、休日を挟めば一気に解決できることに気づくかもしれない。

あるシーンとあるシーンの間がどれくらい空いてるかを自覚しよう。
それは全体にぎゅっと圧縮できるか?
どうしても圧縮出来ないか?
それは何故か?
ハリウッドの理想は、全体が二週間で終わることらしい。
それくらい凝縮された体験にすると、
緊張が持続しやすいのだと思う。
(だから有名な「ナインハーフ」原題 9 and 1/2 weeksはダラダラした時間のことだし、
「48時間」は短すぎて物凄く緊迫することだ)
題材によっては無理だけど、そういう考え方を試してみるのも悪くない。


話がダラダラしていたり、
何かが足りなかったりするのは、
こういうことを試行錯誤していなかったりするのかも知れない。
やったことなければ、試してみると良い。

(脚本家以外はやったことないかもねえ。
普通のプロデューサーとか。
だから無駄なシーンかどうか判断できずに、
主観で判断してしまうのかも知れない)
posted by おおおかとしひこ at 10:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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