2016年08月31日

設定はあとづけ

前記事の続き。

このやり方が分かってくると、
最初に設定を細かく決めることは、
足枷にしかならないことに気づくだろう。


物語の中心部である、
展開部分が面白くなるように、
設定なんて柔軟に変えていくべきだ。
まずは面白い話ありきなのだ。

それが最終的に上手く動くように、
矛盾のない初期設定をあとで決めるのである。


初心者ほど、最初から作りたがる。
それは「逆から見る」という経験をしたことがないからだろう。

名作を、ラストシーン、ひとつ前のシーン、
と見ていくことをおすすめする。
ビデオ時代は巻き戻しが大変だったけど、
DVDなら楽勝だろう。

名作ほど、
あとで使うものに都合がいいように、
初期設定を作ってあるはずである。

最初に設定を作れば、
なんとなくストーリー(の最初の部分)が出来たような気になってしまう。
しかし実際にそこから最後まで書ける人は、
一割いないと思う。

「何てことないOLが、偶然カメラマンと知り合い、
ヌードモデルをやることに!」とか、
「荒廃した未来世界に、最強の兵器を使える少年が登場するが、
まだ本人はその力に気づいていない」とか、
設定だけならいくらでも考えつくことができる。
だけど、それは一割以下しか最後まで書かれることはない。
何故か?
続きを思いつかないからである。

設定の続き、つまり追加設定をしてしまうミスをすることはよくあることだ。
設定の次は展開なのにね。
もちろん、設定を思いつけばあとはラストまで作れる人もいる。
でも殆どの人はそうではないから、
最後まで書かれる話は、最初の思いつきに対して少ないのである。

展開は、ラストからの逆算であると考えれば、
自動的にこのあたりではこうなっていなければならない、
ということが予測できる。
そのタイムスケジュールに従って展開を用意すればいいわけだ。


設定から展開を展開するのが難しいのは、
先が見えずカオスにはまってしまうからだと思う。
第一第二ターニングポイントとミッドポイントを決めて、
全体のスケジュールを組めば、
やらなきゃいけないことだらけになるというものだ。

これは人間心理かも知れない。
旅のスケジュールを立てるとき、
目的がなければダラダラするだけなんだけど、
目的を持てばその逆算で、急に分刻みスケジュールになる感じ。

最初に設定だけ作って展開を考える行為は、
何時に家を出るかも決まっていない旅のようなものだ。
多分最終的に、旅にすら出ない可能性もある。

目的がなければ、現実逃避が旅の目的になってしまい、
妄想で終わる確率が高くなってしまう感じ。

目的のないダラダラした旅も面白いけれど、
それは多分意味や意義の薄い、空騒ぎになるだろう。
逆にストーリーとは、意味や意義のある、
空騒ぎでないものであるべきなのだ。


その為には、設定はあとまわしでいい。
本編の展開が面白くなるように、
存分に考えたあとで、
第一ターニングポイントより前の設定部を考え始めればいいだけのことだ。

設定から展開が生まれる確率は低い。
展開に必要な設定を考えつくことは100%出来る。
どっちが完成しやすいかだ。
posted by おおおかとしひこ at 00:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック