前記事の続き。
このやり方が分かってくると、
最初に設定を細かく決めることは、
足枷にしかならないことに気づくだろう。
物語の中心部である、
展開部分が面白くなるように、
設定なんて柔軟に変えていくべきだ。
まずは面白い話ありきなのだ。
それが最終的に上手く動くように、
矛盾のない初期設定をあとで決めるのである。
初心者ほど、最初から作りたがる。
それは「逆から見る」という経験をしたことがないからだろう。
名作を、ラストシーン、ひとつ前のシーン、
と見ていくことをおすすめする。
ビデオ時代は巻き戻しが大変だったけど、
DVDなら楽勝だろう。
名作ほど、
あとで使うものに都合がいいように、
初期設定を作ってあるはずである。
最初に設定を作れば、
なんとなくストーリー(の最初の部分)が出来たような気になってしまう。
しかし実際にそこから最後まで書ける人は、
一割いないと思う。
「何てことないOLが、偶然カメラマンと知り合い、
ヌードモデルをやることに!」とか、
「荒廃した未来世界に、最強の兵器を使える少年が登場するが、
まだ本人はその力に気づいていない」とか、
設定だけならいくらでも考えつくことができる。
だけど、それは一割以下しか最後まで書かれることはない。
何故か?
続きを思いつかないからである。
設定の続き、つまり追加設定をしてしまうミスをすることはよくあることだ。
設定の次は展開なのにね。
もちろん、設定を思いつけばあとはラストまで作れる人もいる。
でも殆どの人はそうではないから、
最後まで書かれる話は、最初の思いつきに対して少ないのである。
展開は、ラストからの逆算であると考えれば、
自動的にこのあたりではこうなっていなければならない、
ということが予測できる。
そのタイムスケジュールに従って展開を用意すればいいわけだ。
設定から展開を展開するのが難しいのは、
先が見えずカオスにはまってしまうからだと思う。
第一第二ターニングポイントとミッドポイントを決めて、
全体のスケジュールを組めば、
やらなきゃいけないことだらけになるというものだ。
これは人間心理かも知れない。
旅のスケジュールを立てるとき、
目的がなければダラダラするだけなんだけど、
目的を持てばその逆算で、急に分刻みスケジュールになる感じ。
最初に設定だけ作って展開を考える行為は、
何時に家を出るかも決まっていない旅のようなものだ。
多分最終的に、旅にすら出ない可能性もある。
目的がなければ、現実逃避が旅の目的になってしまい、
妄想で終わる確率が高くなってしまう感じ。
目的のないダラダラした旅も面白いけれど、
それは多分意味や意義の薄い、空騒ぎになるだろう。
逆にストーリーとは、意味や意義のある、
空騒ぎでないものであるべきなのだ。
その為には、設定はあとまわしでいい。
本編の展開が面白くなるように、
存分に考えたあとで、
第一ターニングポイントより前の設定部を考え始めればいいだけのことだ。
設定から展開が生まれる確率は低い。
展開に必要な設定を考えつくことは100%出来る。
どっちが完成しやすいかだ。
2016年08月31日
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