2016年09月01日

【すーざんさんへの回答箱】打率

>今まで数千の映画をご覧になって、観て良かった!と思えた“打率”はどれくらいでしょうか。

ぶっちゃけ、今は1/1000ぐらいです。


歳を経たこともあります。
子供の頃は何でも最高でした。
小学校高学年ぐらいになると、
バラツキがあるのに気づきはじめます。
あれより良かった、悪かったと、
記憶の中の興奮と比較できるようになる。

中学高校になると、部分的な評価も出来るようになりました。
大学時代は、自分の得意でないジャンルをなるべく見ました。
世の中を広く知りたいと。
そうすると、打率は1/1から1/3、1/50ぐらいにはなっていきますよね。
ただ、「予測できない当たり」にも出会えた。
たとえば「プリティウーマン」「髪結いの亭主」、
「ムトゥ踊るマハラジャ」「ギャラクシークエスト」なんて、
知らなければ一生出会えない当たりです。


また、最近の予告は信用しなくなりました。
自分でやった映画の予告がひどく、
意見できる権利がない経験をしてるので。
(外国の映画でも、予告編をつくり、売り文句を作るのは日本のスタッフです)
名作にリーチする方法は、評論だけになりましたね。

ここ五年ぐらい、急に映画を見なくなりました。
名作を名作として上映し、
駄作は駄作として上映することが、
映画館ビジネスで出来なくなってきている気がします。
金さえ稼げばなんでもいいんじゃないか、あいつら。



勿論、部分で評価することもありますよ。
シンゴジラはCGスタッフ調べたし。
でももうプロなので、何をどうすればどうなるかは、
大体分かっちゃうんですよ。
だから、生半可な部分では評価しない。
FFの予告編でも苦笑いしかない。
やるのは大変なのが分かるから、何のためにそれやるんやと、笑ってしまう。

僕が評価するのは、
これまでの歴史を踏まえたうえで、
新しいことをやろうとすることです。
既に誰かが手をつけたもの、やりつくしたものには興味がない。
A級のものにはそんなものが減っていて、
B級グルメをやらないとダメかなあと思っています。
ぴあがなくなったのが痛い。
ネット時代は一覧して隅っこを拾うことがやりにくい。

逆に昔の作品に、昔は気づけなかったそういうものを発見することもあります。
そういうのはちょいちょい言及したりしてますが。


ちなみに俺生涯で何本見たのかな。
1万と、20年前概算しました。
今2万くらい?
打率1/1000としたら20本、
昔の打率と平均して1/100として200本。
そんくらいですかねえ。

町行く女に点数をつける遊びを、男なら常にやりますが、
いいなと思うのはどれくらいの確率か。
そんな話かもしれません。
posted by おおおかとしひこ at 11:53| Comment(1) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
大岡様 返信ありがとうございました。これまでの歴史を〜の一節はさりげなく重い意味を含んでいます。だからこそ、打率が低かろうと、観て考えなくてはいけないのだと受け止めました。
話は変わりますが、最近、洋泉社から出版しているゴジラに携わった人達の証言本を何冊か読みました。(スーツアクターの中島さんや、俳優さん等)熱さと楽しさが伝わってきて、こういう職場で働けた人達は本当に幸せだっただろうな、と思います。
Posted by すーざん at 2016年09月02日 02:04
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック