2016年09月10日

濁流と三幕構成

濁流論、調子にのってもっと掘ってみる。

三幕構成を濁流側から見てみよう。


一幕は、まだ濁流じゃない。
それは水源地のようなものだ。
清流が穏やかに流れているのみだ。
ところが嵐がやってくる。
増水し、流れは早くなり、だんだんと水は濁っている。
どんどん支流が合流してくる。
そのたびに濁流は濁流になってゆく。
明確なカーブがある。
ここから濁流、ここまではまだ日常だった川。
そこが第一ターニングポイントだ。

二幕は、濁流が暴れる。
せっかく濁流になったので、
流れは停滞するべきではない。
ジェットコースターのように、曲がり、うねり、
非日常の危険を味わえなくては、
濁流ツアーの意味がない。
これは他人が濁流で溺れる様を、
絶対安全圏から見る見世物である。
濁流は、危ないほど面白い。
所々堤防が決壊してもいい。
とにかく濁流の行く先に飽きさせないことだ。
飽きさせないためには、一端池にたまり、
休む場も必要かも知れない。
とにかく濁流の始まりから二幕終わりまでは、
全体の半分以上の濁流ツアーが行われるのだ。
飽きさせないように、常に濁流に揉まれる感じを書こう。
分流したり合流したり、
滝になってたりショートカットしたり。
岩場もあればアップダウンもあるだろう。
平凡な予想の斜め上の濁流ツアーが待っているのだ。

さて、濁流の先はどうなってる?
今までで一番デカイ滝だ。
そこが第二ターニングポイントだろうね。


三幕は、クライマックスの滝である。
覚悟して飛ぶしかない。
見事に着地出来たらハッピーエンドだ。
おだやかな大河になり、いずれ海に出る。
もう濁流はないだろう。
その落差こそが、落ちに結びつくのである。




あなたは濁流の制御者である。
危険で、流れの速い、先の見えないものを制御して、
寸止めにし続け、クライマックスでマックスの落差を飛ぶ。
それが面白いストーリーだ。

勿論濁流ツアーは例えばなしなのだが、
そういえば川下りがメインの、
ワンシチュエーションラブストーリー(つまりボートという密室)に、
「アフリカの女王」がある。オススメです。
(相変わらず邦題が悪くて誰も見ない名作。
原題The African Queenはそのボートの名。
アフリカも女王も関係ない話である。
俺が担当者なら「沈め、アフリカの女王」「川下りの果てに」
などにアレンジするだろう)
posted by おおおかとしひこ at 12:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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