普段の僕にしては大絶賛だけれど、
やはり冒頭15分のしんどさは、
どのシナリオライターもやりがちなミスが散見される。
指摘しよう。
日常を描くのは、伏線にするためだ。
勿論単なる説明とか、世界観に慣れる為なのもある。
けれど、この話には、「ただの説明」が長すぎたと思う。
説明は、冒頭だけでせずともよい。
あとに回せるものは二幕にだって回せる。
話を始める、最低限を残すべきだ。
話を始めるとは、この話でいえば、
「入れ替わりの異変に気づく」である。
たとえば選挙演説はそれに必要だったか?
登校中に何もかもセットアップしがちなのは、
学園ものにはよくあることだ。
舞台の説明、友達の説明、性格や人間関係や部活の設定まで盛り込みたがる。
そこまではパターンだから許すとしても、
選挙演説はあとでも良かったんじゃないかなあ。
あるいは選挙演説を印象づけることを選んで、
友達二人は教室で紹介しても良かったのではないか。
そこらへんの取捨選択が、詰め込みすぎな気がした。
カフェへの憧れも、なくて良かったと思う。
あと、あのPVアニメのようなオープニング、いる?
オイシイ所だけ抽出したような予告的なもの、いる?
僕はなしで良かったと考える。
今風演出であることは認めるが、
涙を流して起きる所からはじめて、
日常、異変、と素直にいった方が、
「お前は誰だ?」に早くたどり着けたと考える。
僕は三葉のほうに感情移入したけど、
瀧くんにも感情移入したかった。
そのセットアップを、オープニング切れば出来たんじゃないかと思うんだ。
(たとえばイタリアンの先輩への片思いとか。
シフト一杯入れてるのは彼女に会うため、というのが最初にあれば、
感情移入が早かったと思う)
冒頭15分の退屈さにも関わらず、
「夢の中で入れ替わってる」が分かってからの、
はしょり方も気になった。
オッパイチンコ以外にも、
もっとプライベートな何かに踏み込んだほうが面白くなったと思う。
「転校生」のラスト、もとに戻る前の、
「さよなら私」の気持ちに近いものが、
「かたわれどき」の奇跡の瞬間に込められたはずだ。
あと後半になるけど、「名前を忘れる」説明が下手だと感じた。
誰かに言おうと思って、あれ?って流れにするのが自然なのに、
急に少女マンガのようなモノローグになるのは、
少々お寒い気がした。
この説明はここで必要かな?
常にそう思うことはとても重要だ。
一回組んだ段取り(起きてから登校終わりまで)を
崩す勇気も必要だ。
この映画の冒頭15分は、セットアップとして失敗していると思う。
事件(入れ替わり)へのスライドが、遅すぎると思う。
どんな長い映画でも、
最初の事件は8分以内に起こるべきだ、
というハリウッドの経験則に僕は賛成だ。
2016年09月12日
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