2016年09月17日

キャッチコピー2

ためしに、「小説家になろう」「カクヨム」あたりで、
Yahooからリアルタイム検索してみるとよい。

沢山のアマチュア達が、ツイッターで膨大に自分の作品を売り込んでいる。
慣れてないとその空気に気分が悪くなるので、
閲覧注意物件かも知れない。


あなたの物語がこの中に埋もれたとき、
誰がどうやって発見し、どうやってリーチするのか考えただけで、
気が遠くなってしまうよね。
どんなに面白く価値のある話を書いたって、
ここに埋もれていてはダメだと思うべきだろう。

さて、アマチュア達の売り込み方を見ると、
ひとつの特徴が見えてくる。
それは、同好の士むけにしか宣伝していないことだ。
○○が好きな人に向けて、○○ありますと宣伝しているのである。
これは狭いマーケティングだ。

勿論、暑いときに「かき氷あります」はキラーコンテンツである。
需要が十分あれば、供給するだけで客は来る。
逆に、ニッチな需要はニッチな供給に群がるから、
それらはWinWinの関係になる。

そういうときは○○ありますは、効果的な売り方である。

しかし容易に想像できるように、
需要一杯までしか客は来ない。


ほんとうの商売というのは、
興味のない客を開拓することだ。

知らない人、興味のない人に見てもらう導線をつくることが、
宣伝の役目である。

そのために宣伝は大量に投下し、目立っておいて、
興味や需要を「つくる」のである。
80年代から00年代前半くらいまでは、そうした方法論が日本の標準であった。


昨今の宣伝が「○○あります」しかない、狭いマーケティングなのは、
宣伝を大量投下する資本がないからである。
それは興味のある人を少しずつ取りこぼし、
市場を縮小させ続けるだろう。
つまり、貧すれば鈍する、を地で行っているわけだ。


あなたのキャッチコピーは、
なにも知らない人、興味のない人をも振り向かせ、
お店の入り口までやってこさせる文だろうか?
キャッチコピーは、そこまで力のある文であるべきだ。


もう一度、アマチュア達の売り込みを見るといい。
自分達の長所をアピールすることで精一杯で、
こっちが疲れてくる。
興味のない単語は、すっ飛ばす。

つまり、キャッチコピーが平易に書かれるべきだ、
というのは、難しい、レアな単語は、すっ飛ばされるからである。

なるべく平易な言葉で、
興味のない人をも振り向かせる、
世界の真実のひとつ(それはテーマをネタバレしない、
別の表現になっているとか、おたのしみポイントを示しているとか、
導入の面白さになっている)を書くべきなのである。


興味のない人にも理解される文。
興味のない人にも魅力的に見える文。
興味のない人にも、それならば見てみようかと興味を発生させる文。

スペックを並べて来るやつは、元々興味のあったやつだけだ。

興味のない人のハートを掴むのが、キャッチコピーである。

だからキャッチっていうんだぜ。
posted by おおおかとしひこ at 14:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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