映画には様々な効果音がある。
ものの質感や状況を示すのに、
絵以上の表現力を時にもつ。
ところで、
漫画にはよくあるけど、映画にはない効果音を列挙してみよう。
ヌッ
シーン
ぶらり…、ブラッ、ダラーン
キラッ、キラキラ、キラリン
シャキッ(気をつけをするときなど)
ザシャア(車田以外はあまり見ない登場音。ドラマで再現しようとしたが無理だった)
ハッ(とするとき)
スッ
シュタッ
ガバッ
ニョロニョロ
ピーン(体をのばす、ピンと何かに気づいたとき)
キュン(胸が)
ガーン(ショックで)
勃起音(漫画による)
タラーッ
パッ(手に持ったり、離したり)
などなど。
国語で擬音語と擬態語というのを習ったと思うが、
これらは全て擬音語には属さないものたちだ。
だから、物理的な音が鳴る効果音には出来ないのである。
だからと言って擬態語かというと、
そうでもないような気もする。
漫画の特殊な表現、漫譜であるという相原コージの説をとっておこう。
これらに共通するのは、
止め絵では表現できない、ちょっとした動きを表すものが多いということだ。
漫画は動画ではないから、
止め絵で表現するしかない。
モーションをぶれたように描いたり、
斜線を引っ張って動きを表現したりするやり方もあるし、
さらにこのような動きを表現する効果音をつけたりする。
昔のアニメには、実写の効果音にはない、
こうした効果音が良く足されていた。
タラちゃんの足音が面白効果音だったり、
歯がキラーンとなったりするのは、その名残だね。
実写でそんな音はしない。
しかし、意図的にそれを足すことで漫画的な表現になることもある。
たとえば仮面ライダーの変身SEなどはその最たるものだ。
つまり日本の実写は、
ある程度漫画表現が侵食していたりする。
大元は時代劇や、そのまた祖の歌舞伎かもだ。
こういう感覚は外人には分からないかも知れないね。
(ちなみにアメコミなんかでは、
Swing!とかSlashとかKickとか、動詞を効果音がわりに使うことが多い)
そう言えば昔のカンフー映画では、
技を繰り出すたびにボッとかバッとか、
空気を裂く音がしていた。
アメリカがカンフーを扱うようになって、
その漫画的な表現がすたれて、
おじさんはさみしいね。
ジェイソンボーンとかのリアル系は、それはそれで面白いんだが、
もっと荒唐無稽があってもいいと思う。
そういう意味では、効果音というのは、
耳で聞いたリアルな音だけでなく、
心象表現でもあるのである。
サイレント映画に初めて音が導入されたときの、
暴力的な音の洪水を、「アーティスト」では、
心象表現として利用していたよね。
工事音で心象表現にするのは、石井総互もよくやっていた。
脚本家はそんなところまで気を使う必要はないけれど、
映画雑談でした。
2016年10月01日
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