以前テヅカチャートを紹介したけれど、
プロット力があるかどうかは、
テヅカチャート的な考え方が出来てるかどうかなんだな、
ということが最近分かってきた。
どういうことかというと、因果関係の訓練にとてもよい。
まず真ん中に、面白いシチュエーションを書く。
面白くなくて平凡でもいいけど、
面白いシチュエーションの方が訓練になる。
たとえば、「アイドルに告白される」とでもしようか。
その下に、
それから考えうる面白い展開を考えて、
バリエーションを考える。
アイドルに告白されたので、
素直に二人でデートする、
そもそも何でか聞くと、昔助けたことがあったからだった、
怖いので断る、
そのアイドルユニットの別の子が好きだった、
カメラに気づいた、
などを、直結の展開に考えたとする。
素直に二人でデートするのは、リアリティーがないので却下。
面白くなりそうなのは、4か5だろう。
4の先をまた5個ほど考える。
あるいは5の先を5個ほど考える。
5かける5の25の展開を考えてもいい。
さらにその先を5個ずつ、計125ルート考えてもいいぞ。
まるでゲームの分岐を考えるみたいに、
沢山の展開を考えよう。
そのなかで一番面白いコースが、
採用になる面白い話だろうね。
勿論、デートする→実は昔助けたことが、
みたいにノードの再利用もあり得るわけだ。
次に、最初の面白げなシチュエーションの前を考える。
アイドルに告白される前に何があると面白いか。
彼女に振られた、
そのアイドルのライブに行った帰りの直後、
何故かエレベーターで二人が閉じ込められて、
彼女にプロポーズする指輪を買った直後、
自殺しようとしていた、
などなどを考えたとしよう。
その前提を変えることで、全く別の話になりうることが想像できる。
さらにその前を5通りずつ考えれば、
さらにバリエーションが生まれていく。
さらにさらに。
中心になるシチュエーションを変えて同じことをやってみる。
「そのアイドルの別の子が好きだった」
というのが面白そうなので、
それについて、その後の展開、その前にあったことを、
5個ずつ考える。
「アイドルに告白される」を使わなくても、
全く別の話も作れるだろう。
たとえば親友と推し担当をめぐって喧嘩する話も作れるだろう。
その喧嘩を使って、アイドルに告白されるを再利用したら、
また別の話になりうる。
こうして、
面白いシチュエーションから、
前後を想像して、
どんな面白い話の一部になり得るかを、
バリエーション豊かに考えるのがテヅカチャートである。
点から線の面白さを訓練し、
組み合わせの妙を作る訓練だとも言える。
そしてそれは、因果関係を考える訓練になるわけだ。
それがある、だから次こうなる、
それがある、なぜならこうだったからだ、
という因果関係が不自然だと、話は面白くならない。
しかも我々としてはなるべく面白い話になったほうがよく、
自然な因果関係だが面白くないものには興味がない。
だからこれは、
自然な因果関係だがたいして面白くないものと、
面白い展開だが無理がある因果関係なものを、
外す訓練であるのだ。
面白い因果関係を5個ずつ考える訓練だと思うといい。
あるいは、
たいして面白くない展開でも、
次に面白い展開になるための準備に使えることも、
やってるうちに分かってくるだろうね。
ある面白いシチュエーションを中心に、
前後の可能性の空間が死ぬほどあるわけだ。
そのバリエーションの中で、
最も面白そうなひとつがおそらく正解で、
その嗅覚を鍛える訓練でもある。
あるいは、困ったとき、どこまで戻って書き直せば面白い展開になりそうだ、
などの勘も鍛えられる。
あるストーリーの可能性の空間を考えればいいからだ。
さらに進むと、
あるシチュエーションと別のシチュエーションを考えたら、
その間を埋める最も面白いルートをひねり出すようなことにも、
これは応用できるわけだ。
中心になるものから、3段階ずつ前後をつくれば、
それだけで125かける125通りの話を作ったことになる。
なかなかにタフだけど、
そもそも頭の中で、
こういうことを僕らはいつもしている気がする。
逆に、頭の中でしていることを可視化することで、
自分の中の偏りを発見することに、
役に立つかも知れないね。
手塚治虫のテヅカチャート、
単純ゆえに強力だ。
で、面白くない話ってのは、
ちょっと5個ぐらい考えれば、
他に面白くなる選択肢がありそうなのに、
それを思いつけなかったか、
気づいたけど書ける実力がないので避けたかの、
どっちかのような気がするんだ。
2016年10月06日
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