ハリウッド映画の理想の作品内時間は、
二週間だとよく言われる。
それぐらいが季節感に左右されず、
あることが起きてからほどよい決着がつくまでの、
二時間で見せる適当な時間幅なのかも知れない。
それ以上長期に渡る物語、
たとえば一年に渡る物語を書くときなどは、
カレンダーを作ってみることをオススメする。
仮に、一年間の物語としよう。
季節はよっつあるわけだ。
その間の具体的な社会的イベントはなんだろう。
盆正月、クリスマスやバレンタイン、文化祭体育祭、夏休み、夏祭り、
なんてのは学園ものの定番だよね。
社会人ものなら、就活生やボーナス、定年退職なんかは、
一年もあればそんな時期もあるだろう。
衣替えや花見や忘年会や花粉症や梅雨なんかもイベントとして使える。
これらは、具体的な使えるイベントを探せ、
と言っているわけではない。
一年もあれば、
「作品内の時期に、そのイベントがやって来る」ことは事実だ、
ということだ。
それらを一切使わない話もあり得る。
使わないなら、その時期以外を丹念にすくいとって、
話を組み立てなければならない、ということだ。
今僕は、知らない土地の、知らない季節のことを書こうとしている。
そこの盆や正月やクリスマスが、どう祝われるかも知らない。
出身である関西や、今住んでいる東京のそれとは、また違う感じだろうな、
とも想像するし、そうじゃないかもな、とも想像する。
実際のところは、
登場人物たちが、クリスマス前にどうそわそわするか、
実際にどう過ごしたか、終わった後にすること、
などを、想像できるかどうかだ。
もちろんそれは作中に生かしてもいいし、
ストーリーに邪魔なら使う必要もない。
作中のカレンダーをざっと一覧表にしてみよう。
今書いている話は、
マイナージャンルの冬の世界大会をクライマックスにしようとしているので、
必然的にそのカレンダースケジュールで話がすすむことになる。
それと日本(少なくとも大阪、東京)の季節感とは、だいぶずれていて、
それが登場人物たちの意識を規定するところにもなること、
たとえば「普通の日本人はこういう季節感で動いているが、
私たちはそうではないという意識」と関係してくることが予測される。
たとえば冬の話だから、初雪の季節がいつか、
それがその人たちの気持ちとどう関係しているか、
(雪が嫌いな人も、その世界大会を知ってから雪が好きになった、とかね)
などだ。
へえ、この人たちは、こういう一年の過ごし方をしてるのか、
というカレンダーを確認しよう。
ストーリーは何月ぐらいにはじまり、
それまでのバックストーリーは何月にあった出来事なのか、
何月と何月は省略するのか、
有名イベントは利用するのか避けるのか
(たとえば今札幌雪祭りを使うかどうかで悩んでいる)、
なんてことを妄想しながら考えよう。
夏、里帰りはするのか。夏祭りにはいくのか。フジロックはいくのか。
秋、文化祭は行くのか。ハロウィンはいくのか。
そういうことが、登場人物の行動スケジュールを規定したりするだろう。
あなたの第○シーンから第○+1シーンは、
どれぐらい時間があいてて、その間に公式イベントがあったりしたのか。
そういうことを細かく想像するといいだろう。
一年だけじゃなく、二か月の話、半年の話、十年の話、
などにもこれらの考え方は応用できる。
工事中だったものがストーリーの後半で出来上がる、なんて演出はよくあるよね。
極端な例は「三丁目の夕日」の東京タワーだ。
時代の雰囲気が、単なる人間ドラマに奥行きの味を加えている例だ。
恋人同士の話で、クリスマスのエピソードがないわけない。
クリスマスに会わなければならないわけでもない。
「クリスマスに互いに仕事で会えないから、
22日にクリスマスだという二人で設定してアツアツの夜を迎えておき、
イブの日は恋人のいない設定として仕事として会う」
というストーリーですら、リアルなドラマになるというものだ。
カレンダーを作ってみよう。
世間はそのころ、なにしてる?
特別な団体は、どういうスケジュールで動いてる?
個人は、どういうスケジュールで動いてる?
たとえば主人公が空港に急ぐ場面で、
「たまたまゴトビ(5、10の道路が混む日)だった」
ということすら、スケジュールを睨めば作ることが可能だぜ。
これは、プロットが出来ている時も、
まだプロットが出来てなくて考えてる時にも、
どちらにも使えるやり方だ。
プロットが出来てる時は、リアリティーを埋められる。
何月に不自然に話が飛ぶなあ、などと修正を加えられる。
出来てない時は、ここにこのイベントが発生しそうだ、
という予測に使える。
勿論、
季節を変えたり、ストーリーがはじまる時期を変えたり、
ストーリーの期間を変えたりして、
よりドラマチックにカレンダーを作り直す、
なんてことをやってもいい。
うるう年を利用したっていい。
(ちなみにその年には夏のオリンピックが必ずある)
現代を舞台にするならば、
そのようなカレンダーは必須かもしれない。
地元の特別イベントですら、ストーリーには応用できるよね。
2016年10月09日
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