2016年10月14日

考えすぎは破滅する

今日後輩のコンテを見ていて思ったこと。
何回も直すと、わからなくなる。
そういう時は、最初に書いたやつに戻るといい。


僕はストーリーというものは、
油絵よりも水彩画に近いと考えている。

理屈ではなく、感覚で見るものだからかも知れない。

油絵は何度も何度も描きなおして、たったひとつの真実に漸近することが出来るが、
水彩画はそうではない。
水彩画や水墨画は、
全体がふわっと見えている時に、感覚的にがっと勢いよく描いたほうがいい。
水彩画を、理屈では直せない。

水のにじみとか、色の混じりとか、
筆の偶然のタッチとか、
そういうのがたぶん水彩画の命だ。

理屈じゃないところが水彩画の命だ。


ストーリーは理屈か?
プロットは純粋な理屈だと思う。
だから油絵のように、何度も何度も書き直せると考える。

しかし実際の原稿は水彩画に似ていると思う。
理屈じゃない部分が、
台詞やキャラクターやシチュエーションからにじみ出たりして、
それが魅力になるからだ。


書き直しをするとき、何を直すのか。
理屈を直すのか、感覚的なところを直すのか。
理屈を直すなら、理屈の状態、プロットで直しをやるべきで、
原稿を前に直しをやるべきではない。
理屈っぽい原稿になりがちだと思う。

件の後輩のコンテも、
理屈っぽくて、説明ばかりしていて、
こちらが楽しむ間合いが全然なかった。

水彩画を、油絵のように直してはいけない。
油絵は一枚を延々直していく。
水彩画は、何枚も描いてベストを尽くすが、大抵一枚目が一番いい。

そんな感じの違いが、
プロットと実際の原稿のあいだにあるような気がする。
posted by おおおかとしひこ at 23:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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