今日後輩のコンテを見ていて思ったこと。
何回も直すと、わからなくなる。
そういう時は、最初に書いたやつに戻るといい。
僕はストーリーというものは、
油絵よりも水彩画に近いと考えている。
理屈ではなく、感覚で見るものだからかも知れない。
油絵は何度も何度も描きなおして、たったひとつの真実に漸近することが出来るが、
水彩画はそうではない。
水彩画や水墨画は、
全体がふわっと見えている時に、感覚的にがっと勢いよく描いたほうがいい。
水彩画を、理屈では直せない。
水のにじみとか、色の混じりとか、
筆の偶然のタッチとか、
そういうのがたぶん水彩画の命だ。
理屈じゃないところが水彩画の命だ。
ストーリーは理屈か?
プロットは純粋な理屈だと思う。
だから油絵のように、何度も何度も書き直せると考える。
しかし実際の原稿は水彩画に似ていると思う。
理屈じゃない部分が、
台詞やキャラクターやシチュエーションからにじみ出たりして、
それが魅力になるからだ。
書き直しをするとき、何を直すのか。
理屈を直すのか、感覚的なところを直すのか。
理屈を直すなら、理屈の状態、プロットで直しをやるべきで、
原稿を前に直しをやるべきではない。
理屈っぽい原稿になりがちだと思う。
件の後輩のコンテも、
理屈っぽくて、説明ばかりしていて、
こちらが楽しむ間合いが全然なかった。
水彩画を、油絵のように直してはいけない。
油絵は一枚を延々直していく。
水彩画は、何枚も描いてベストを尽くすが、大抵一枚目が一番いい。
そんな感じの違いが、
プロットと実際の原稿のあいだにあるような気がする。
2016年10月14日
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