>読みきり漫画を描くに当たって、「脚本論のこれは通用するけど、これはちょっと違うよ」なんて部分はあるのでしょうか?
>連載ものではなく読みきりなので、より映画に近いのかな?と考えているのですが…
>ちなみに30Pの少女漫画を描こうとしているのですが、これは脚本でいう「短編」を描くイメージで考えれば上手くいくのでしょうか?
ページ単価がちがう、と考えます。
脚本は、1ページ1分です。
1ページ20行なので、1行3秒なわけです。(極論です)
ところが、漫画は1ページが何分というわけではありません。
見開きもできれば、1ページに10コマ以上詰め込むことも可能です。
時間、つまり、間や、ページ単価の密度などを、
漫画ではいかようにでもコントロールできるし、
また、コントロールするべきだと考えます。
1ページ8コマで最初から最後まで漫画を描くバカはいないでしょう。
逆に、○ページ漫画なら、だいたいこの規模の話で、
見開きやタチキリがこれぐらいあって、
細かいコマ割もこれぐらいあって、
などと予想して、
脚本で言えば△ページ相当だな、
と見積もれれば、
あるいは脚本の方法論がそのまま使えるかも知れません。
何度か漫画原作者のネームを見たことありますが、
コマ割までやってたのは予想外でした。
(もちろん、ネーム時点から絵描きが変更することもあるんでしょうが)
映像の世界では脚本はあくまでストーリー素材で、
それをどのような尺割りにするかは、監督がやるものだからです。
脚本の1ページ1分というのは、あくまで120ページで平均すれば、
という経験則にすぎず、
1ページの分量を5分に引き伸ばしたり、5秒にすることも、
監督や場面によってはありうることです。
実は映像の尺というものは、脚本時点とは大きくずれるものです。
それを編集で切り貼りして、所定の尺に収める、という作業があるのです。
漫画にはそれは多分ないでしょう。
30ページの少女漫画が、映画短編のどれくらいに相当するかは、
経験がないので分かりかねます。
ざっくりでいいのなら、映画短編の方法論でもいけるかもしれませんが、
だったら少女漫画のストーリー理論でいいと思います。
(漫画のストーリー理論というものがあまりなくて、
ストーリー論を語るのは映画ばかりだという現状の偏重はあるのは、わかります)
また、
たとえば羽海野チカの漫画とかは、
オンのセリフとモノローグがうまく噛み合った、
特殊な言語表現になっていると思います。
こういうのは映像にはないので、脚本には出来ない部分だったりします。
2016年10月19日
この記事へのトラックバック
確かにページ単価は脚本とは大きな違いがありますね!
コントロール出来る分、やはり経験が必要なんだと改めて思いました。
漫画と共に、1日5本プロット頑張ります!
ありがとうございました。
やっぱり漫画はコマの大きさが変えられるというのが、映画と違う特徴ですよね。
引きやアップでのカメラ的な絵作りとは違う、画面の大きさそのものを変えられるというのは。
同じ絵でもコマの大きさによってぜんぜん意味が変わってきますからね
ちなみに私は32ページの読み切り用に75ページのネームを描いて、編集さんに43ページ削ってもらったことがあります。
手塚治虫が「ロストワールド」という漫画を描いたとき、
1000ページ描いて100ページに縮めた、
という逸話は聞いたことあります。
昔は単純にすげえ、とビックリしたものですが、
今は、無駄なことぐらい描く前に分かんなかったのかよ、
と思ってしまいますね。
とは言え、そういう体験を経ると、
「何が無駄なのか」を見る目が育つかもです。
漫画は左右ページがあるから、1ページ切る、とかも出来なさそうだし、専門外なので想像の範囲ですが。