今日がハロウィン本番とはしらなんだ。
本来の死を思う祭りから、単なるコスプレイベントと化しているのは、
どこぞの代理店の差し金か。
ということで変身願望だ。
みんな大好きなモチーフだ。
それはやっぱり、いまの自分に不満だからだろうね。
変身願望は、いまの自分から離れて、
別の可能性の自分の想像を満たすものである。
自分はAだったかも知れない、
Bという人生だったら、
Cになれたら。
それは、
創作物に自分を投影する観客、
演じる俳優、
それを作る作者自身、
全てが変身願望を満たしているとも言えるだろう。
いまの自分から一時離れて、
別の自分であること。
それが、一種のセラピーになるのではないか。
別の自分になることで、
いまの自分を相対化出来るのではないか。
いまの自分が気にくわない。
それは、いまの自分が変化できず絶対的な存在だからだ。
それが、別の自分である可能性を体験することで、
いまの自分が絶対ではないことを体感できるのである。
演劇療法というセラピーの原理は、
恐らくこういうことだろうと思う。
自閉症や心的外傷は、「別の役」を演じることで、
いまの自分を相対化する。
人の心は、いまの自分を否定することを、
そうやって治癒できる。
難しいことを考えなくてもいい。
変身願望を満たすことは、
「全然違う自分になること」である。
待て。何故全然違う自分になれるのか?
オッサンが女子高生になれるのか?
モテナイ男がヤリチンになれるのか?
なれるのである。
全然違う自分になるのは、感情移入という作用によってである。
感情移入は、似てるキャラクターへの共感ではなく、
全然違う人間にも出来るのであった。
(勿論、上手いストーリーテラーに限る)
それは、共感ではなく、一種の変身願望を満たすことで可能になるのかも知れない。
もし自分がヒーローだったら。
もし自分が凄い悪役だったら。
もし自分が今よりいけてない人生だったら。
物語の中の人生は、こうやって誇張されるのである。
OLをターゲットにすえた、
リアルなOLが主人公の映画?
つまらねえ。
じゃあシンデレラには感情移入できないのかい。
30代のOLがターゲットなら、30代のOLが主人公?
そんなわけないよね。
そんなこというバカなマーケッターは、
すぐ「これは誰向け?」とか言い出す無理解者は、
ハロウィンで「いまの自分の格好」をしてパレードしてきなさい。
さて、その変身はいつか解けなければならない。
物語は終わるからである。
変身しまくった自分が、
現実の自分を相対化し、
現実の自分に勇気や元気を与えるものでなければならない。
それが物語の役目のひとつだと、僕は信じる。
2016年10月31日
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