2016年11月06日

構造はストーリーラインである6: リライトで構成を整える

実際のところ、三幕構成理論は、
白紙に書いていくときよりも、
色々出来上がったあとのリライト時に機能する。


何故なら、三幕構成理論は、
「次に何を書くべきか」を教えてくれないからである。
「この30枚がざっくりこうなってればよい」は教えてくれても、
私たちが苦しみ、思いつかなければならないことは、
「次に何を書くべきか」だ。

構成理論がそれを教えてくれるような、錯覚がある。
13ポイント理論なんかはその気すらある。
だけど、どんなに構成(何分に何が起こる)を突き詰めたって、
「似たようなパターンにしかならない」ということに早く気づくべきだ。

構成理論は「映画には型がある」なんてことを言う。
初心者ほど、
「自分の話がいまいちなのは、
その型を知らないからであり、
その型をちゃんとマスター出来てないからだ」
と思いたがる。
それは、自分の欠点に目を背けて型の有無のせいにしている。

空手の型への考え方と同じだ。
初心者空手家が弱いのは、
型がマスター出来てないせいではなく、
身体も動きも弱いのである。

あなたの話が詰まらないのは、
型とは関係なく、
あなたの話が詰まらないからである。

三幕構成理論にはまったもので、
詰まらない映画は沢山ある。
三幕構成は、名作の必要十分条件ではないことを、
知っておくとよい。

では次に何を書くべきなのか?
これは、法則がない。
法則がないからこそ創作なのである、ということを、
常に自分に課しておくことだ。

次に何を書くべきかは、ストーリーが決める。
私たちは物語がいきたい方向へ筆を走らせることしか出来ないはずだ。
○○は何をしたい?
と全登場人物に問いかけ、整理し、
それが今後どうなれば面白くなるかを、
思いつくしかないのである。


さて、
構成理論は、じゃあ何の役に立つのかというと、
「分かりやすくするためにある」のだ。


メインストーリーラインの、
第一ターニングポイント
(日常世界から非日常世界への境目で、
センタークエスチョンを意識し、
自らが言い出しっぺになる場面)と、
第二ターニングポイント
(センタークエスチョンが意識され、
全ての解決はたった一点に絞られたが、
最も危険が大きい、と一息ついて緊張が高まる場面)を、
探しだし、
それに近いけどその資格のない場面なら、
そのように書き直し、
その二点で区切られた、
一幕、二幕、三幕を、
1:2:1になるように、全体の長さを再調整すると、
「名作映画によくあるリズムになるので、
受け入れやすくなる」
ということを言っているに過ぎないのである。

(ミッドポイント、インサイトインシデント、
ピンチポイントなどはあってもなくても構わない)

これが必要十分条件ではないということ、
つまり、三幕構成だからといって面白いとは限らない、
ということを知るべきだ。

勿論、面白い話は、分かりやすい話でもあるから、
自然と三幕構成に近いものは生まれる。
それは人間の本能のような感覚かも知れないわけだ。
(実際には文化の持つリズムのような感じだと思う。
僕は短編は序破急ではないかと感じている)


三幕構成理論を学びたければ、
まずは一本、何も考えずに完成させること。
そしてそれを、
三幕構成理論に従ってリライトするだけでよい。

二つの原稿を読み比べ、
より分かりやすくなっていれば、
三幕構成の型が役に立っている、というだけのことである。


三幕構成理論が、次に何を書くかを教えてくれるのではない。
次に何を書くべきか、
その構造は、ストーリーラインそのものが決めるはずだ。
結局私たちは、
焦点をはっきり、面白くすること、
そこに皆の関心を誘導すること、
引き付けて次の焦点へ上手く変えること、
をひたすらやるしかないのである。


空手の型が使えるようになるには、
まず組手をがむしゃらにやるしかない。
その体力や度胸や根性をつけてから、
その中で普段の型の研究が使えるかどうかを、
検証していくしかない。
そして型というのは、全部をカバーせず、
一部の特殊な場面を抽出しているだけである。
あとは上級者がどうやって型を実戦に応用しているか、
研究していくしかないのだ。
posted by おおおかとしひこ at 13:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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