2016年11月12日

脚本の練習と心理学

人間と人間の関係を書くのなら、
心理学のひとつやふたつは研究していることだろう。

しかしそれは生きた知識にしなければならない。
たとえば。


「フットインザドアテクニック」を実際に使っている場面を、
書いてみたまえ。

登場人物は二人でいい。
どういう立場なのか、
どういうシチュエーションなのかは、
決めてよい。
互いの目的も自由に決めてよい。


ちなみに、フットインザドアとは、
「交渉ごとにおいて、
相手がイエスというのが難しいと分かったとき、
相手のイエスと言いやすい、簡単な奴をまずイエスと言わせ、
本丸の交渉をノーと言いにくくしていく」ことだ。
ローボールテクニックともいう。
元々は訪問販売において、
ちょっと話だけでも聞いてくださいよと、
しまる扉に足をちょっと突っ込んで泣きの一言をいう場面のことだ。
まあこれくらいは、心理学のどの雑学本でものっているだろう。

原理はなんとなく分かる。
じゃあそれを生かした場面を書いてみたまえ。
設定やシチュエーションや台詞のやり取りを書くことは、
シナリオライターの仕事そのものである。


元義のとおりセールスマンの場面でもいいし、
ポツダム宣言受諾の場面でもいいし、
帝国軍と反乱軍の場面でもいいし、
刑事と泥棒でもいいし、
男が女を口説くのでも構わない。

設定は自由で、目的も自由に決めていい。
フットインザドアが効果的に、自然に使われていればOKとしよう。

さあ、自然な会話場面が書けたかな。
あるいはドラマチックに書いても構わない。
うまくいけば、
これはコンフリクトを一段階解消する場面の、
具体例として使えるわけだ。


交渉術に限らない。
心理学と名のつく雑学本は、
世の中にたくさんある。
楽しむだけでもいいけど、
それの具体的な場面を創作するのは、
とても勉強になるよ。
posted by おおおかとしひこ at 00:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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