ざっとプロットを組んでみたとき、
その話があまりにも平凡で起伏がない、
と落ち込むことはよくある。
どうしてドラマチックにならないのだろう。
ドラマチックにするには、どうすればいいのだろう。
TIPSだけど、ふたつある。
ひとつの方法は、絵を派手にすることだ。
たとえば部屋の中の場面を、
野球場のマウンドで成立するようにしてみる。
規模を大きくするわけだ。
狭いところから広いところ。
人の少ないところから多いところ。
金のかからないシンプルな場面から、
金のかかる複雑な場面へ。
ビッグビジュアルを持ってくると、
ドラマチックであるように見える。
「ツイスター」は、竜巻の派手な絵の割には、
実は地味な再婚劇である。
たとえば5分のその場面を、
スマップの解散場面と同時刻、同場所で起こるようにしてみる。
(スマップだと日本的だが、
これがアメリカ史に残る場面を使えば、
「フォレストガンプ」になるわけだ)
たとえばビッグゲストが絡むようにする。
ロッキー4にはJBがゲストで歌を歌ったものだ。
カワイイコや動物で誤魔化すのもひとつの方法である。
これらは全て、ガワで派手にする方法だ。
いわば誰でも考えられるアイデアだ。
誰でも、というのは、脚本家以外でも、
という意味で、監督やプロデューサーすら、
こういうアイデアを提案してくることがある。
絵のことは、誰でも出来るわけだ。
逆にここは、脚本家のメインではない。
もうひとつの方法。これは脚本家にしか出来ないこと。
つまり、内面で行う方法である。
それは「この場面が、その人の人生の一大事である」ようにすることである。
単なる告白(態度表明)が何故ドラマチックになるかというと、
それが人生の一大事だからだ。
単なる事件解決ならば、その人の人生がかかった事件にしてしまうといい。
受験や卒業式入学式、葬式が何故ドラマチックなのかといえば、
人生の一大事だからだ。
死ぬか生きるか、という二者択一は、常にドラマチックになる。
この場合、物理的に死の危険があってもいいし、
社会的に死の危険があってもいい。
(クビをかけて、全存在がフラレるかどうか、
仲間内に顔を二度と出せなくなる、村からハブられる、
国外追放、孤立と引き換えの危険)
ドラマチックとは、何かがガラッと変わることではないか。
つまり、人生の一大事であればあるほど、
その結果いかんで人生がガラッと変わってしまうはずである。
人生の一大事は、別に卒業式や受験や結婚や出産だけではない。
その人がその人であれるかどうか、
その人がその人から大きく変わってしまうかもしれない、
そういうときが、人生の一大事である。
その場面がそうであるように、
冒頭からセットアップしておけば、
ただの平凡なストーリーは急にドラマチックに見えてくるだろう。
自分の全存在を賭けて闘う様は、
どんなものであれ、たとえ醜くとも、ちっぽけでも、
ドラマチックで美しい。
2016年11月13日
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