2016年11月13日

平凡な話をドラマチックにする方法

ざっとプロットを組んでみたとき、
その話があまりにも平凡で起伏がない、
と落ち込むことはよくある。
どうしてドラマチックにならないのだろう。
ドラマチックにするには、どうすればいいのだろう。

TIPSだけど、ふたつある。


ひとつの方法は、絵を派手にすることだ。

たとえば部屋の中の場面を、
野球場のマウンドで成立するようにしてみる。
規模を大きくするわけだ。

狭いところから広いところ。
人の少ないところから多いところ。
金のかからないシンプルな場面から、
金のかかる複雑な場面へ。

ビッグビジュアルを持ってくると、
ドラマチックであるように見える。
「ツイスター」は、竜巻の派手な絵の割には、
実は地味な再婚劇である。

たとえば5分のその場面を、
スマップの解散場面と同時刻、同場所で起こるようにしてみる。
(スマップだと日本的だが、
これがアメリカ史に残る場面を使えば、
「フォレストガンプ」になるわけだ)

たとえばビッグゲストが絡むようにする。
ロッキー4にはJBがゲストで歌を歌ったものだ。
カワイイコや動物で誤魔化すのもひとつの方法である。

これらは全て、ガワで派手にする方法だ。

いわば誰でも考えられるアイデアだ。
誰でも、というのは、脚本家以外でも、
という意味で、監督やプロデューサーすら、
こういうアイデアを提案してくることがある。
絵のことは、誰でも出来るわけだ。
逆にここは、脚本家のメインではない。



もうひとつの方法。これは脚本家にしか出来ないこと。
つまり、内面で行う方法である。

それは「この場面が、その人の人生の一大事である」ようにすることである。


単なる告白(態度表明)が何故ドラマチックになるかというと、
それが人生の一大事だからだ。

単なる事件解決ならば、その人の人生がかかった事件にしてしまうといい。

受験や卒業式入学式、葬式が何故ドラマチックなのかといえば、
人生の一大事だからだ。

死ぬか生きるか、という二者択一は、常にドラマチックになる。

この場合、物理的に死の危険があってもいいし、
社会的に死の危険があってもいい。
(クビをかけて、全存在がフラレるかどうか、
仲間内に顔を二度と出せなくなる、村からハブられる、
国外追放、孤立と引き換えの危険)

ドラマチックとは、何かがガラッと変わることではないか。
つまり、人生の一大事であればあるほど、
その結果いかんで人生がガラッと変わってしまうはずである。

人生の一大事は、別に卒業式や受験や結婚や出産だけではない。
その人がその人であれるかどうか、
その人がその人から大きく変わってしまうかもしれない、
そういうときが、人生の一大事である。

その場面がそうであるように、
冒頭からセットアップしておけば、
ただの平凡なストーリーは急にドラマチックに見えてくるだろう。

自分の全存在を賭けて闘う様は、
どんなものであれ、たとえ醜くとも、ちっぽけでも、
ドラマチックで美しい。
posted by おおおかとしひこ at 15:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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