2016年11月21日

不幸と幸福

他人の不幸はたのしい。
小さな不幸から大きな不幸。
不遇、誤解、力不足、いわれなき差別、逆境。
自分発の不幸、他人発の不幸、犯人の分からない不幸。

それが、幸福に至るのが物語である。

つまり、あなたは、
不幸と、幸福と、幸福に至るルートの、
三つを創作するとよい。


ちなみにこれは、ハッピーエンドの場合を想定している。
バッドエンドやビターエンドは、この方法論を崩すだけなので、
以下ハッピーエンドの基本型について述べる。


行き先の幸福を決めないと、
最後まで書けない。
行き先が分からない旅は、大抵途中で挫折する。
(そして書けなくなってしまうか、
思いつきのバッドエンドで終わらせてしまう。
それは計画的に人を楽しませる、脚本というものではない)

不幸から幸福に至るルートを決めないと、
いつまでたっても進展しない話しか書けない。

また、そのルートが不自然で無理があるなら、
その話はちっとも面白くないだろう。
無理のある不自然な話だからだ。


不幸、幸福、ルートの3セットを決めること。

小さな不幸でも、大きな不幸でも、
小さな幸福でも、大きな幸福でもいい。

容易に想像できるように、
大きな不幸から大きな幸福に至るルートが、
一番面白く、一番人気で、
一番書くのが難しい。

小さな不幸から小さな幸福に至るルートは、
すぐ書けるけど、
それを面白く、人気にするのは、
別の技がいる。
(キャラクターやシチュエーションや意外性などだ)

出来ることをやり、出来ないことに挑戦することだ。



さて、不幸と幸福はどんでん返しのように、
表裏一体であり、物語中ではしょっちゅう二転三転することを知っておこう。
ひとつの不幸からひとつの幸福に至るルートの途中では、
幸福になったり不幸になったりするものだ。
その転換点をターニングポイントと言ったりする。

大抵の場合、

小さな不幸→小さな幸福
→少し大きな不幸→少し大きな幸福
→それより大きな不幸→それより大きな幸福

→最大の不幸→最大の幸福

のようにエスカレートしていく。
インフレといってもいい。

この上下のルートが面白く書ければ、
物語は面白くなる。


さて、まずは、
不幸、幸福、ルートの3セットだ。
これがひとつ出来るのなら、
あとは大きさをコントロールして、
増幅して繋げていくと長編が出来る。

プロットというのは、事前に作ったこの見取り図のことでもある。
posted by おおおかとしひこ at 10:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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