2016年11月28日

ルーザーズトーナメント

ダブルエリミネーションともいう。

よく格ゲーの大会で行われるトーナメント方式だ。
一発勝負のフロックを防止するために行われることがある。

多分あまり知られていないだろうから、
面白い考え方なので紹介してみる。


通常のトーナメントは、基本一発勝負だ。
そして不条理なことに、
一回も負けなかった奴が優勝する、
という実はへんてこなルールである。

全ての戦績は、
一人以外全員、
負け抜けだ。
初戦負けかあるいは○連勝一敗で終了、である。
(一回戦で半分が初戦負けで消えるシステム)

これがシビアで面白いから、
トーナメントというのは人気なのだが、
ほとんどの選手を捨ててしまうのは勿体ない。
どこかでミラクルやミスが起きて、
番狂わせが起きてもそれをナシに出来ず、
実力測定として妥当かどうかは、
ゲームの性質にもよるだろう。
(そのフロックが一発勝負の面白さでもある)

だから、強豪はブロック分けしてぶつからないようにするとか、
シード権を作って予選うっかり負けを防いだりする。
いわばトーナメントのシステムの弱点を、
変形トーナメントにするわけである。
(勿論一番納得のいく勝負法はリーグ戦だが、
時間が莫大にかかるのと、
消化試合がかなり多いことが欠点だ)


さて、
ダブルエリミネーションというトーナメント方式は、
2ライフ制のトーナメントと思うとよい。

まずトーナメントをやる。
勝った人はそのままトーナメントを進む。
これをウィナーズトーナメントという。

負けた人は負けた人で集まり、
またトーナメントをやる。これをルーザーズトーナメントという。
負けた人は一人(ウィナーズの優勝者)を除いて全員だ。
だから、もう一個裏トーナメントがあるイメージだ。

で、ルーザーズトーナメントの優勝者と、
ウィナーズトーナメントの優勝者が、決勝をやるシステムだ。
ウィナーズトーナメント優勝者は1敗してもよく、
従ってルーザーズトーナメント優勝者が優勝するには、
二連勝しなければならないシステムである。

2ライフ制、という変則トーナメントだけれど、
僕が好きなのは、ルーザーズトーナメントという名前だったりする。



以下脚本論。

人生は、一回つまづいただけで終わりだろうか?
人生が成功するには、全勝無敗でなければならないのか?
幼稚園で失敗した人は、もう人生は終わりなのか?
小学校で、中学で、高校で失敗した人は?
初仕事で失敗した社会人は?

人生はトーナメントではない。
ウィナーズトーナメントでもない。

ルーザーズトーナメントだと僕は思う。
しかも2ライフ制どころか、
何回失敗しても大丈夫だと思うのだ。
物理的に死ななければ。

高校デビューとか大学デビューとか社会人デビューとか、
そういう言葉がある。
ルーザーズトーナメントを勝ち上がる方法論のひとつかも知れない。


物語というのは、
ウィナーズトーナメントを描くことではない。
序盤からラストまで全勝を見ても、
たいして面白くないだろう。
ルーザーズに叩き落とされた男が、
這い上がり、最後には勝利を勝ち取ることが、
ドラマというものである。
(ハッピーエンドの場合)

一回ぐらい大ピンチになるといい。
それはルーザーズトーナメントなのだ。



ダブルエリミネーションを採用してるのが、
プロ野球のクライマックスシリーズだ。
最近野球見てないので、盛り上がってるかどうか分からない。
おじさんは日本シリーズの直接対決のほうが好きなので、
いまいち力が入らないけど。

ダブルエリミネーションを試合形式で使ってる映画は、
あんまり見ないね。
せいぜい三本勝負ぐらいかな。

逆にデスゲームものは、1ライフ制のウィナーズトーナメントを描くのがメインになる。
デスゲームものの流行は、
「失敗できない社会」の反映かも知れないね。
posted by おおおかとしひこ at 12:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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