>用心深く伏線を張った上の描写よりも、突然の描写のほうが数倍強い効果を生む場合がある。伏線を用いる際には、伏線を「張らない」ことによって、映画を高く強くはずませることができはしないか考えなければならない といった文章をシナリオ指南本を読んでいたら見つけました。 伏線がなければ唐突な映画になってしまうのでは・・・ でも、この文章なにかが引っかかって気になります。(まだうまく咀嚼できてません)
伏線と唐突。
初心者か、中級者か、上級者かで、答えは変わって来るかも。
初心者:そもそも伏線を張るのが下手。
「伏線を張ってばかりでは詰まらない、もっとサプライズを!」
→出直せ。伏線張るのが下手の言い訳に使うな。
中級者:伏線張るのは出来るが、何でもかんでも伏線を張ってしまう。
「伏線を張ってばかりでは詰まらない。もっとサプライズを!」
→バレバレに読めるようなぬるい伏線なら、張らないほうがまし。
つまり、上手い伏線を張ることをマスターするべき。
同時にミスリードも。
上級者:伏線張ることと、唐突にサプライズすることを使い分けられる。
「伏線を張ってばかりでは詰まらない。もっとサプライズを!」
→たしかにそうだが、その使い分けの基準とかあるのかなあ。
のような感じですかね。
件の指南本が、どのランクの人を対象にしているかは不明ですが。
僕は、驚かせたいなら伏線なしが妥当だと思います。
ただ、驚いたとしても納得がないのなら意味がない。
たとえば「サプライズ誕生日を仕掛ける」という話において、
「今日誕生日である」という情報すら隠すかどうかは、
書き手の上手さに関係するような気がします。
全部驚いたあとに、成程そうだったのか、と腑に落ちるのなら、
伏線があろうがなかろうがどっちでもいいことです。
そもそも、伏線がある為に驚きが減じるのなら、
それは伏線を張るのが下手としかいいようがないかと。
ちなみに、今日のTVで見たクイズ。
Q サラリーマン川柳から。次の〇を埋めてください。
「わんちゃんの 飯代より安い 〇〇〇〇〇」
(シンキングタイム)
A ワンコイン
「わんちゃん」があるから、「ワンコイン」が成立するダジャレなわけです。
この時、
「わんちゃん」を、伏線と考えるか、ネタフリと考えるか、ネタバレと考えるかですね。
伏線と考えるなら、落ちの予告になっているし、
ネタフリと考えるなら、落ちにうまく誘導してるわけだし、
ネタバレと考えるなら、「飼い犬の 飯代より安い ワンコイン」とでもすればよい。
勿論、それは唐突になるわけで、ダジャレでもなんでもなくなる。
そのネタが、
唐突ゆえにいい場合もあるし、
唐突ゆえにダメな場合もあるし、
伏線がネタバレになる場合もあるし、
伏線が効果的に落ちに繋がる場合もある、
ということです。
それを「全ては伏線を張るべき」と教科書的に考えるのは、
愚かだということですかね。
結局、ネタ次第ではないでしょうか。
もうひとつ、卑近な例を。
映画「いけちゃんとぼく」のファーストシーン
(老人二人が海を見ている)は、必要だったでしょうか?
角川映画サイドは必要だと主張しました。
僕は原作同様不要で、溺れるシーンからはじめるべきだと主張しました。
前者は、ラストのネタバラシが唐突だと判断しました。
後者は、そのサプライズこそが原作のすばらしさだと主張しました。
僕は、余計な老婆心だったと、角川映画を批判しています。
(契約上、最終編集権は監督ではなく、角川映画にあります)
何をどう感じるか。
個人が。大衆が。
センス(感覚)の問題でもあります。
2016年11月23日
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