2016年11月24日

最後まで書くことの効用

とにかく最後まで書け。
決着がついて、落ちが着くまで書き終えろ。
勝負は二回目以降だ。
すなわち、リライトである。

最後まで書くと、
どんな形であれ「問題は解決した」
ということが書かれていることが、
一番大きな成果である。


最悪でも元の形に戻ればいいから、
以下のようなことを試せる。

さらに混乱を足してみる。
さらにピンチになる。
さらに凄い解決法になる。
一回失敗する段取りを加え、ハラハラを足す。
さらに危険度やリスクを吊り上げる。
テンポ上がるようにしてみる。
あえて一瞬安心するシーン(踊り場のような)を作ってみる。
全員の問題が一撃で解決するように、サブ問題やサブプロットを再調整する。
感動や笑いを加える。
テーマがより浮き彫りになるように、絵で示せるものはないか。それはイコンになるか。

ざっくりいえば、起伏を足したり、整理したり、再構成したりするわけだ。

一回でも「問題が解決した」のなら、
その過程をいじることは、部分的にも全体的にも可能なはずだ。
より面白く、よりハラハラと、より深く再構成するのである。

これは、創造的なリライトである。
原稿を見ずに再構成を構想し、
原稿を見ながら理想に近づけていくとよい。
なお、前のバージョンはコピーを取るなりして残しておこう。
最悪でも元のバージョンに戻れるようにするためだ。

(僕はファイルナンバーに001などと3桁の番号をつける。
大きな改訂があったとき、101、201などと百の位を足していく。
アナザーバージョンにはA01、B01などとアルファベットをふることもある。
アナログ原稿でやるときも、
一回目と二回目と三回目の筆記用具の色を変えて、
何回目に何を書いたかが分かるようにすることもある。
例:青→赤→黒→緑など。4回目は厳しいのでデジタルに移行するけど)


一回でも解ければ、あとは別解を探す、数学的な考え方かも知れない。
完成形はひとつだが、
間にいくつバージョンがあってもいいと思う。
最後まで書けてれば、バージョン違いを作ることはたやすい。

最後まで書けない人は、
そのあとにこういうことがなされていることを、
恐らく知らないし、経験もないだろう。
執筆は一回では終わらない、というハリウッドの格言は、
こういうことを指しているのである。
posted by おおおかとしひこ at 20:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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