2016年12月09日

絵の良さだけは予算に比例する

日本映画の絵がなぜ安いのかを考えよう。


予算と絵の良さは比例するからである。

予算があると、いい俳優女優を使える。
(予算がないと、聞いたこともない役者や、
いい役者の事務所のバーターを飲まなければならない)

予算があると、高い服を買えるし何着も用意できる。
(予算がないと、安い服しか買えないし、
一着を着回す)

予算があると、いい化粧が出来る。
(予算がないと、自分メイク)

予算があると、絶景のロケ地が使えるし、色んな所へいけるし、
多数のスタッフをホテルに泊めて何日も滞在できる。
(予算がないと、ショボいところを値切りながら借りて、
日帰りで行ける範囲である)


この辺は素人でも想像がつく。
服やメイクやロケーション(旅行と同じ)は、想像がつく。

次に専門的なこと。


予算があると、一日に撮るカット数を減らせる。
(予算がないと、短期間で沢山撮らなければならない)

予算があると、いい機材を使える。
いいカメラ、沢山の照明、時間のかかる撮影、長期間のスケジュール。
(予算がないと、ショボいカメラとショボい照明と、
わずかなスタッフでやりくりして短期間で寝ずにやるしかない)

予算があると、オーケストラが使えて、豊かな音響効果による感情の増幅が出来る。
(予算がないと、打ち込みのショボい音でヘボい作曲家、
または音楽なし)

予算があると、小道具が本物を使える。
あるいは本格的なモノを長期間かけて作り出せる。
(予算がないと、その日中に返さなきゃいけないショボいレンタル)

予算があると、マイクがいいマイクで録音部の人数も多くなる。
(予算がないと、ヘボいマイクのヘボい音声になり、
芝居が安く見える)

予算があると、音をじっくり作れる。
音は長い時間かけたほうがじっくり作れる。
(予算がないと、数日でMacの中で作ってMacのスピーカーで確認)

予算があると、CGがリアル。
(予算がないと、CGがヘボい。
CGの予算は概ね、人数×日数に比例)

予算があると、エキストラが大量に仕込める。
その人数の弁当やトイレの手配もできる。
(予算がないと、エキストラは数名レベルで、
しかもエキストラやったことない人を使わなければならない)

予算があると、クルマや馬や空撮など、ダイナミックなことができる。
(予算がないと、そんなものはハナからない)



これらは、絵の良さ、ガワの良さに比例関係がある。
だから、予算はあるにこしたことはない。

一方、脚本だけは、予算と比例するわけではない。

100万の脚本が、1000万の脚本より、
1/10の面白さで、1/10しかヒットしない訳ではない。
逆も然り。
つまり、脚本料だけは測定しようがなく、言い値である。
つまり、ハッタリと詐欺と不確定の横行する世界になる。

だから、脚本を見る目を持とうなのか、
だから、脚本とは関係ないガワで測定しようなのか、
二者択一である。

今後者の流れである。
僕は、前者のことをしたい。
posted by おおおかとしひこ at 00:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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