2016年12月20日

脚本料の話をもう少し続ける

相場感を考えるのに、この話をもう少し続ける。


IQ246を例に取れば、
一話あたり、
織田裕二の出演料100から200、
中谷美紀100から200、
ディーン土屋100と見積もろう。
実際のところいくらか知らないが、
バラエティーでだってこれぐらいだろう。
彼ら一人が来るのではない。
専属スタイリストとヘアメイクがつく。
そのギャラは別料金であり、
実費、すなわち衣装代やクリーニング代、
ヘアメイクに必要な化粧品代も乗ってくる。
低めに見積もって500万、多目なら1000か。

メインキャストでこれぐらいとして、
ゲストに大物となるとさらにチーンだ。

これらを集めて何をやらせるかが、
台本である。


ご自由にトークするのとはわけが違う。
あるキャラを与えてアドリブで喋らせるのとも違う。
このシリーズは、
「一見完全犯罪に見える難事件を、
常人離れしたIQの貴族が華麗に解決」する話だ。
完全犯罪のトリック、それを暴くやり方は、
台本に書かれているべきであり、
キャストたちが相談して決めることではない。
ましてやアドリブで出来ることでもない。


で。

その台本料は、いくら?

民放の最低脚本料という規定は、
フリーランスの脚本家の生活を保証するためにある。
ダンピングされて使い捨てにしないようにするためだ。
仮に使い捨てでも、生活のある程度の保証をするために、
フリーランスの値段は高く設定されるものである。

それが、一話36.8万円だってさ。

おかしくない?

このキャスト(一話500万と見積もった)を揃えておいて、
500万の脚本料でもおかしくないよね?
彼らを指揮するストーリーが、1000万でもいいよね?
たとえば三谷幸喜はそれぐらいのランクだろう。
あなたが全体指揮者なら、どれくらいの脚本料でまとめる?


つまりは。

もはや、制作サイドは、
ストーリーなんてどうでもよくて、
あるいはそこに金をかける余裕がなくて、
客寄せパンダ一点豪華に頼っているのである。

さあ。

あなたはそれでも脚本家になりたいか?



今、業界の脚本家軽視は甚だしい。
それはIQ246の出来の悪さで身に染みたであろう。
誰もが、このキャストで別の話が見たかったと感じたはずだ。

あるいは、「逃げ恥」のヒットは、
ストーリーではなくガッキーの可愛さに起因することは確実だ。
ガッキーはストーリーか?客寄せパンダか?

ちなみに、逃げ恥は原作つき、IQはオリジナルである。
脚本家軽視は、脚本家が育つ土壌をも失わせた。


業界は変わらないかも知れない。
じゃあどうするのかは、分からない。

今のところ、僕は勝手に面白い話を作ってどっかで発表するしかないかなあと考えている。
その為の基盤づくりを今コツコツやっている。
賛同者はなかなか現れない。
今目の前の仕事で精一杯のようでね。

とりあえずここでは、脚本の何かを、書いていく。
君たちは勝手に育て。
posted by おおおかとしひこ at 09:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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