2016年12月21日

印象的な台詞

印象的な台詞はどうやって書けばいいか。
それはどんなところにあるのか。


印象的な台詞というのはどういうことか。
普通の言葉ではなく、
変わった言葉の使い方であることがまず必要だ。

だからあなたは、まずそのような言葉遣いが出来なければならない。

そしてそれは、
莫大な台詞の中のどのへんに配置すればよいのか。
台詞頭か台詞尻である。

長い台詞の真ん中あたりにおいても印象には残らない。
いい始めの、まだ何を言うか分からない不安の中での、
印象的な台詞か、
言い終わりの、何を言ったのかまとめに入っているときの、
印象的な台詞が、
記憶に残る。

変わった言葉が印象に残るのではなく、
印象に残る場所に印象的な台詞が来たときに、
印象に残るのである。

つまりあなたは、
印象的な場所を作り、
そこに狙った上で印象的な台詞を置かなければならない。

印象的な台詞は、偶然出来るわけではないのだ。


さらに。

印象的な場所を工夫して作り出すということも出来る。

暗いところに一点だけ灯りを灯すと印象に残るように、
印象を操作することでだ。

しんと静まった所に放たれる一言とか、
一言で決めるべきところで決める一言(決め台詞)とか。

また、台詞頭の究極は、
登場時であるから、
登場台詞は、印象に残しやすい。
(古いたとえだが、ハクション大魔王の、
「呼ばれて飛び出てジャジャジャーン!」だ。
もちろんこれは「出てこいシャザーン!」を下敷きにしたものなのだが、
もはやそのハイコンテクストは失われつつあるねえ)

出落ちが起こりやすいのは、
登場時のこの印象的な台詞に対して、
そのあと印象的なことがなかったためである。
(例:ラッスンゴレライ)

さらに台詞頭を追求すると、
「冒頭の台詞」があるし、
さらに言うならば「作品タイトル」がある。
これを印象的なものにすると、
物凄く印象に残るのだが、
出落ちになりかねないわけだ。
タイトル詐欺なわけだね。

直近では、「IQ.246〜華麗なる事件簿〜」は、
見事にタイトル倒れな作品であった。
「醜悪至極なり」が華麗なる解決になってもいなかったし。


頭の台詞が印象に残りやすいのは、
まだどんなものか分からない、
不安な意識に訴えるからだ。
第一印象と同じなのである。

つまり、第一印象のようなシーンに、
印象的な場所の候補がある。

ターニングポイントのあと、
最初に来るシーンなどもそうである。
新しい展開(焦点)のところだからだ。

初めて見た光景の感想なども、その候補である。
(また古い例だが、
ガンダムの最終決戦、アバオアクーで出撃したとき、
カイが後ろを振り返って膨大な戦闘機械の群れを見たとき、
「俺たち本当に帰れるんだろうな」と、
素の感想を言ったのはとても印象的だ)


また、台詞頭同様、台詞尻のように、
シーン尻、ラストの台詞は、
印象的な場所のひとつである。

冒頭の台詞とラストの台詞を対にする、
ブックエンドテクニックは、
だから強いのだね。
(僕の最も好きなブックエンドは、「アニー・ホール」だ。
台詞じゃなくてナレーションだけど)


印象的な台詞は、偶然ではない。
結果的に偶然出来るのは、
あなたがコントロールする術を知らない、
素人に毛が生えたレベルだからかも知れない。

印象的な台詞は、必然で作る。



(一応ラストに印象に残る一文にしてみたつもりである)
posted by おおおかとしひこ at 10:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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