印象的な台詞はどうやって書けばいいか。
それはどんなところにあるのか。
印象的な台詞というのはどういうことか。
普通の言葉ではなく、
変わった言葉の使い方であることがまず必要だ。
だからあなたは、まずそのような言葉遣いが出来なければならない。
そしてそれは、
莫大な台詞の中のどのへんに配置すればよいのか。
台詞頭か台詞尻である。
長い台詞の真ん中あたりにおいても印象には残らない。
いい始めの、まだ何を言うか分からない不安の中での、
印象的な台詞か、
言い終わりの、何を言ったのかまとめに入っているときの、
印象的な台詞が、
記憶に残る。
変わった言葉が印象に残るのではなく、
印象に残る場所に印象的な台詞が来たときに、
印象に残るのである。
つまりあなたは、
印象的な場所を作り、
そこに狙った上で印象的な台詞を置かなければならない。
印象的な台詞は、偶然出来るわけではないのだ。
さらに。
印象的な場所を工夫して作り出すということも出来る。
暗いところに一点だけ灯りを灯すと印象に残るように、
印象を操作することでだ。
しんと静まった所に放たれる一言とか、
一言で決めるべきところで決める一言(決め台詞)とか。
また、台詞頭の究極は、
登場時であるから、
登場台詞は、印象に残しやすい。
(古いたとえだが、ハクション大魔王の、
「呼ばれて飛び出てジャジャジャーン!」だ。
もちろんこれは「出てこいシャザーン!」を下敷きにしたものなのだが、
もはやそのハイコンテクストは失われつつあるねえ)
出落ちが起こりやすいのは、
登場時のこの印象的な台詞に対して、
そのあと印象的なことがなかったためである。
(例:ラッスンゴレライ)
さらに台詞頭を追求すると、
「冒頭の台詞」があるし、
さらに言うならば「作品タイトル」がある。
これを印象的なものにすると、
物凄く印象に残るのだが、
出落ちになりかねないわけだ。
タイトル詐欺なわけだね。
直近では、「IQ.246〜華麗なる事件簿〜」は、
見事にタイトル倒れな作品であった。
「醜悪至極なり」が華麗なる解決になってもいなかったし。
頭の台詞が印象に残りやすいのは、
まだどんなものか分からない、
不安な意識に訴えるからだ。
第一印象と同じなのである。
つまり、第一印象のようなシーンに、
印象的な場所の候補がある。
ターニングポイントのあと、
最初に来るシーンなどもそうである。
新しい展開(焦点)のところだからだ。
初めて見た光景の感想なども、その候補である。
(また古い例だが、
ガンダムの最終決戦、アバオアクーで出撃したとき、
カイが後ろを振り返って膨大な戦闘機械の群れを見たとき、
「俺たち本当に帰れるんだろうな」と、
素の感想を言ったのはとても印象的だ)
また、台詞頭同様、台詞尻のように、
シーン尻、ラストの台詞は、
印象的な場所のひとつである。
冒頭の台詞とラストの台詞を対にする、
ブックエンドテクニックは、
だから強いのだね。
(僕の最も好きなブックエンドは、「アニー・ホール」だ。
台詞じゃなくてナレーションだけど)
印象的な台詞は、偶然ではない。
結果的に偶然出来るのは、
あなたがコントロールする術を知らない、
素人に毛が生えたレベルだからかも知れない。
印象的な台詞は、必然で作る。
(一応ラストに印象に残る一文にしてみたつもりである)
2016年12月21日
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