僕は理系なので、質量保存則、エネルギー保存則を基本に生きているようなものである。
環境問題は、循環系としての地球観を提供し、
その閉鎖系でのエネルギー保存を前提とする世界観を提示した。
ところが、最近経済のことを考えていて、
経済は質量保存則が成立していないことに気づいた。
金は無限に生み出すことが出来る。
ついでに言うと、金(きん)も産出し続けるわけだから、
世界中にある、人間の金(きん)の総保有量は保存しない。
変動相場制は金(かね)の価値の総量保存を保証しない。
また、ユダヤ人がはじめた金貸しという行為は、
結果的に金の総量を増やす行為である。
元手があれば、長期的に見れば無限に増える行為だ。
これは、金の質量保存を意味しない。
以前少し雑談した、
なぜ自分の使う金を一定稼ぐことがだめで、
会社は拡大を続けなければならないか、
という問いの、おぼろげな答えがこれではないかなあ。
つまり、金が増え続けるのだとしたら、
1円あたりの価値は下がり続けるからである。
同額面では、稼ぐ金は長期的に減るのである。
つまりインフレがゆっくり進行している。
質量保存しない金というものが存在する限り、
この現象は避けられないわけだ。
領土にたとえよう。
地球の面積は一定だから、
それを分配することになる。
総和は一定なので、そのパイの奪い合いである。
これは保存系だ。
ところが金を増やせるシステムでは、
その領土を恣意的に増やせるようなものだ。
勿論、埋め立てや山を切り崩すなどで、
領土の総量を増やす方法はあるけれど、
金の総量を増やすシステムでは、
埋め立て地をつくる以上のスピードで、「領土」が増え続ける。
したがって、
領土が増え続ける中で領土を奪い合うゲームが、
経済だということになる。
質量保存系では、一定の財産は一定の価値である。
私有財産/全体の金が、その価値である。
ところが経済は保存系ではない。
だから価値は減り続けるのである。
という話を、こないだ雑談でしていた。
さて、金貸しというシステムは、
無限に金の総量を増やすシステムである。
しかもそれは、等比級数で増える。
等比級数的に増えるおそろしさを描いた、
最もわかりやすい漫画が、ドラえもんのバイバインの回だ。
今でも宇宙では、10分に一回、まんじゅうが増え続けているのである。
さて、
金は等比級数で増える。
しかし地球や生命や社会は有限である。
資本主義が破綻するのは、目に見えているわけだ。
もっとも、地球が閉鎖系なのは、見かけだけだという理系的説もある。
太陽からエネルギーを補給しているし、
空気分子は少しずつ宇宙に逃げているからである。
(火星は重力が低いため、大気が逃げ出した惑星として有名だ。
だから大気が薄く、水平に見れば
「空(=大気の粒子に光が散乱して見える空間)」はあるが、
上を向くと直接宇宙が見えるらしい。その写真を見たことがないので、
想像するしかないが、物理的にありえる)
次の星系へ人類が進出すれば、閉鎖保存系が、開放系になる。
つまり、資本主義は宇宙開発と表裏一体の運命である。
(もっとも、資本主義は植民地開発という帝国主義に相性が良かった)
日本は狭いから、循環系という質量保存社会を実現してきた、
数少ない国家のひとつだ。鎖国の長さがその決定的要因だろうね。
朝鮮出兵や貿易なんて開放系もちょいちょいあったけど。
だから私たちの世界観は、なんとなく質量保存循環系になっているのではないか。
経済というものはそれではないことが、わかるというものだ。
雑談でした。
あ、ビットコインという、ついに実体のない貨幣が現れた。
実体の金兌換というマネーではなく、
実体をもたない、約束としてのバーチャルマネー。
等比級数的増加の、制限がなくなったようなものである。
これに恐怖を感じない人は、
質量保存則やエネルギー保存則でものを考えない人だろうね。
2016年12月23日
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