2016年12月23日

【雑談】質量保存則

僕は理系なので、質量保存則、エネルギー保存則を基本に生きているようなものである。
環境問題は、循環系としての地球観を提供し、
その閉鎖系でのエネルギー保存を前提とする世界観を提示した。

ところが、最近経済のことを考えていて、
経済は質量保存則が成立していないことに気づいた。


金は無限に生み出すことが出来る。
ついでに言うと、金(きん)も産出し続けるわけだから、
世界中にある、人間の金(きん)の総保有量は保存しない。
変動相場制は金(かね)の価値の総量保存を保証しない。

また、ユダヤ人がはじめた金貸しという行為は、
結果的に金の総量を増やす行為である。
元手があれば、長期的に見れば無限に増える行為だ。
これは、金の質量保存を意味しない。

以前少し雑談した、
なぜ自分の使う金を一定稼ぐことがだめで、
会社は拡大を続けなければならないか、
という問いの、おぼろげな答えがこれではないかなあ。

つまり、金が増え続けるのだとしたら、
1円あたりの価値は下がり続けるからである。
同額面では、稼ぐ金は長期的に減るのである。
つまりインフレがゆっくり進行している。
質量保存しない金というものが存在する限り、
この現象は避けられないわけだ。

領土にたとえよう。
地球の面積は一定だから、
それを分配することになる。
総和は一定なので、そのパイの奪い合いである。
これは保存系だ。
ところが金を増やせるシステムでは、
その領土を恣意的に増やせるようなものだ。

勿論、埋め立てや山を切り崩すなどで、
領土の総量を増やす方法はあるけれど、
金の総量を増やすシステムでは、
埋め立て地をつくる以上のスピードで、「領土」が増え続ける。
したがって、
領土が増え続ける中で領土を奪い合うゲームが、
経済だということになる。

質量保存系では、一定の財産は一定の価値である。
私有財産/全体の金が、その価値である。
ところが経済は保存系ではない。
だから価値は減り続けるのである。

という話を、こないだ雑談でしていた。


さて、金貸しというシステムは、
無限に金の総量を増やすシステムである。
しかもそれは、等比級数で増える。

等比級数的に増えるおそろしさを描いた、
最もわかりやすい漫画が、ドラえもんのバイバインの回だ。
今でも宇宙では、10分に一回、まんじゅうが増え続けているのである。

さて、
金は等比級数で増える。
しかし地球や生命や社会は有限である。
資本主義が破綻するのは、目に見えているわけだ。

もっとも、地球が閉鎖系なのは、見かけだけだという理系的説もある。
太陽からエネルギーを補給しているし、
空気分子は少しずつ宇宙に逃げているからである。
(火星は重力が低いため、大気が逃げ出した惑星として有名だ。
だから大気が薄く、水平に見れば
「空(=大気の粒子に光が散乱して見える空間)」はあるが、
上を向くと直接宇宙が見えるらしい。その写真を見たことがないので、
想像するしかないが、物理的にありえる)


次の星系へ人類が進出すれば、閉鎖保存系が、開放系になる。
つまり、資本主義は宇宙開発と表裏一体の運命である。
(もっとも、資本主義は植民地開発という帝国主義に相性が良かった)


日本は狭いから、循環系という質量保存社会を実現してきた、
数少ない国家のひとつだ。鎖国の長さがその決定的要因だろうね。
朝鮮出兵や貿易なんて開放系もちょいちょいあったけど。
だから私たちの世界観は、なんとなく質量保存循環系になっているのではないか。
経済というものはそれではないことが、わかるというものだ。


雑談でした。

あ、ビットコインという、ついに実体のない貨幣が現れた。
実体の金兌換というマネーではなく、
実体をもたない、約束としてのバーチャルマネー。
等比級数的増加の、制限がなくなったようなものである。
これに恐怖を感じない人は、
質量保存則やエネルギー保存則でものを考えない人だろうね。
posted by おおおかとしひこ at 18:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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