ミッドポイントで何をすればいいか分からなくなったら、
とにかくターニングポイントだと思うことだ。
その前後で、焦点や目的が、
どう変わったかを書き出してみるとよい。
ミッドポイント以前以後の焦点が変わってないなら、
それはターニングポイントとして機能してないので、
ターニングポイントにしよう。
もっとも、ミッドポイントは必ずしも存在しなくてよいので、
存在するとすれば、という場合のみだ。
ミッドポイントの位置はおおむね真ん中、
ややあとだ。
ここにターニングポイントがあると、
大きく半分にストーリーが割れたように思えるものだ。
で、理想のミッドポイントは、
ミッドポイント以前の焦点が、前半戦の焦点で、
ミッドポイント以後の焦点が、後半戦の焦点になること。
ミッドポイント以前の焦点が、
前半戦の焦点の集約になり、
前半戦のまとめになるのが望ましい。
以後の焦点も同様である。
つまり、ミッドポイントで、
前半と後半の空気が明らかに変わり、
具体的な長期目標も変わり、
かつ、劇的で一気に変わるのが、
理想のミッドポイントだということになる。
ただし、全く別物の話になってはダメだ。
あくまで同一の話の前半戦と後半戦でなければならない。
すなわち、的確なミッドポイントを書くには、
前半戦のことと後半戦のことが、
完全にあなたのなかで把握できていなければならない。
逆に言えば、第一稿でミッドポイントがきちんと書けている確率は低い。
前半戦の焦点や、後半戦の焦点がきちんと絞られている保証がないからである。
(ミッドポイントがきちんと出来ているのに、
二幕前半または後半がグダグダということもあるわけだ)
相変わらずドラマ風魔を例にとると、
聖剣登場の8話(7話の終わり、壬生の黄金剣奪取→風林火山との激突)
がミッドポイントである。
それ以前の焦点は、風魔対夜叉の、一対一の潰しあいだ。
しかしそれ以後の焦点は、
どちらサイドが相手を全滅させるのか?という、
殺伐とした焦点になる。
その時点で死んだキャラは半数近くなる
(不知火、項羽、紫炎、琳彪、白虎、雷電、闇鬼、黒獅子
の8名/19)ため、
対決色よりも、生き残りを競うみたいな雰囲気になるわけだ。
それに強力な兵器が投入され、戦況は一変しやすくなるわけである。
後半戦にはマグネットコーティングがあるものだ。
最終問題は10倍の得点!
みたいなことと同じで、
後半はより起伏が激しくなってゆく。
この殺伐とした、荒涼とした空気感は、
原作「風魔の小次郎」の魅力のひとつである。
学園ハレンチ忍者ものとして始まった漫画が、
人が大分死んで、忍者ものの宿命的な雰囲気を漂わせ始めたころである。
僕は原作のこの辺りが大層好きで、
(その後の聖剣戦争は、当時は好きだったが、
今見ると出落ちの嵐なんだよなあ)
夜叉編ドラマ化、という枠組みを聞いて、
是非ともここの空気を引き伸ばしたいと考えた部分だ。
(同じ空気は反乱編にも漂っている。
しかし聖剣戦争やったあとなので、スケールダウン感が半端ない)
つまり原作風魔の小次郎には、
三種類の空気が漂う。
学園ハレンチ忍者ヒーローもの(転校生、影三兄弟、太もも貫通)
忍者宿命もの(八将軍、小次郎と武蔵の決着)、
運命の聖剣戦争(飛騨一族、コスモの終結、聖地での決戦)、
もとに戻って忍者宿命もの(反乱編)、
である。
原作好きでも、
殺伐とした忍者ものの和の雰囲気が好きな人と、
カオス含めた華やかなFFっぽい感じの、
スペースファンタジーが好きな人がいると思う。
(初期学園ハレンチもの命の人は…いないよね。
ついでに言えば、聖剣というアイテムを鎧に置き換えたのが聖闘士星矢なわけだ)
もし、原作風魔の小次郎にミッドポイントがあるとすれば、
それは「小次郎と武蔵の雪の中の決着」になるわけだ。
そうすると、聖剣戦争だけが突出しすぎて、
後半戦の焦点が見いだせなくなってくるよね。
だから反乱編は微妙な立ち位置なのである。
ざっくり言えば、聖剣戦争のインフレに、反乱編がついて行けなかったのだ。
(いつか実写化するとしたら、
この辺りを再構築しなきゃ死んでも死にきれんわ)
当時はまだインフレという考え方はなかったが、
リンかけ、風魔を通じて、車田正美は、
ジャンプの基礎を作ってしまった。
その後のバトル漫画、すなわち、
北斗、キン肉マン、ドラゴンボール、男塾、ジョジョ二部、
幽遊、ターちゃんあたりは、
インフレをしまくって、自分のインフレについていけなくなったら自滅終了、
みたいなチキンレースをし続けていたわけだ。
(その中でもドラゴンボールは、
神様の上の概念を作れた時点で、
インフレの上限を上げられたわけだ。
それもフリーザあたりで限界に達した。
ジョジョは第○部でリセットする奇策に出た)
この言葉を借りれば、
前半戦と後半戦の違いは、インフレするかしないか、
ということだとも言える。
前半戦にやったことを後半戦にやると、
まだそれをやってんのか、と思ってしまうことが、
インフレの感覚の裏にいるだろう。
前半戦の焦点は?
後半戦の焦点は?
それはミッドポイントで鮮やかに変わるのか?
それが整理されない限り、
ミッドポイントはただのターニングポイントや、
単なるエピソードやシーンでしかないだろう。
ミッドポイントはだから、
リライトの時に整理されるべきところかも知れない。
2016年12月29日
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