2016年12月29日

大ターニングポイントの整理

ミッドポイントの整理以外にも、
第一、第二ターニングポイントを整理するのは、
リライトの時によくやることだ。


同様に、
第一、第二ターニングポイント以前と以後の、
焦点(明示的目的)を整理して表にするとよい。

特に重要なのはその後の焦点で、
第一ターニングポイントならば、その後、
二幕全体もしくはミッドポイントまでの焦点になっているか、
第二ターニングポイントならば、その後、
三幕全体の焦点になっているかをチェックするとよいだろう。

そうすることで、
全体の骨が歪んでいないかどうかをチェックできる。
三幕構成理論というのはそういう仕組みだ。


ところで、
第一、第二ターニングポイントにはさらに大きな役割があって、
それがセンタークエスチョンの提示だ。
実際的には、それぞれ二幕、三幕の焦点なのだが、
それが「この話全体のセンタークエスチョンにも見える」ように書いておくと、
大ターニングポイントの役割をうまく果たすことになるだろう。
(もちろん、明示するのは三流で、一流は暗示で書くものだ)


リライトにおいては、
シーンの構成やストーリーラインが変わることもある。
テーマも変わることすらある。
主人公が変わることも、なくはない。

そういうとき、
元の第一ターニングポイント、ミッドポイント、第二ターニングポイントが、
書き直したストーリーの、
第一ターニングポイント、ミッドポイント、第二ターニングポイントに
なっているとは限らない(むしろ前のバージョンのそれが邪魔をすることが多い)、
ということを想定しておこう。

それは、簡単にいえば、
ストーリーがリライトによって、別のストーリーになったからだ。
別の骨格になるべきなのだ。


新しいストーリーのそれぞれの大ターニングポイントはどこか、
それは適切な尺の位置にいるのか、
それはそれぞれの役割をちゃんと果たしてるのか、
をそれぞれチェックして、
骨格の構造を書き直すとよいと思う。

部分を手直しするのは誰でも出来る。
監督、俳優、俳優事務所、プロデューサー、制作員会、あるいは現場の状況。
その歪みを歪んだままにせず、
別物のストーリーになってしまっていたのだとしたら、
その別物のストーリーで大ターニングポイントを設定しなおすことが肝要だ。
それは脚本家にしか出来ない芸当だと思う。

(大抵の脚本を直したがる人は、
「全体に影響しない部分直し」をしたがる傾向にある。
責任が全体に及ぶと手がつけられないからである。
しかしそれは全体に及んでしまうことが、まれによくあるのだね。
たったひとつの台詞ですら、全体を集約したものであったりする。
それを直すことは、全体をやり直すことだったりするわけだ。
ベテランは調教されすぎて、部分直ししても全体に影響が出ないような、
ぬるい脚本を書きがちだ。だって毎度毎度全体直ししてたら、
疲弊して死んでしまうものね)
posted by おおおかとしひこ at 18:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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