全面ライトを当てて、証明写真のように撮るから、
安く見えるのである。
雰囲気のある写真、雰囲気のある部屋はどんなだったか思い出すと良い。
それは、どこかほの暗い要素があるものだったはずだ。
ジョジョという物語の立ち位置は、
証明写真のようなものだったか、
雰囲気のあるものだったか。
後者のはずである。
ということで、元のビジュアルに手を加えてみた。
暗いと不平を言うよりも、進んで明かりをつけましょう。
やったことは、マスク切りとカラー補正、
襟元のマークを大きくしたこと、
服にカラーライティングしてみたことなどだ。
これらは「デジタル現像」と現在では呼ばれる、
写真撮影後の加工である。
アナログ時代は「現像」と呼ばれていた過程を、
フォトショでやるからこういう。
もちろん、撮影からやり直せるなら、ライティングそのものを変えたいが、
同じ写真からでも、加工によってはこれぐらいの差をつくることは出来る。
これが加工してみたもの。
これが元のコスプレ。
以下その理屈。
紫は暖色、緑は寒色。
補色関係にある。
荒木の色使いは、紫緑の、日本人があまりやらない色使いが多い。
なので、同色背景のもとよりも、
補色関係の背景にさしかえ。
で、暖色の闇よりも、寒色の闇のほうが、
ジョジョに合っていると考えた。
なので、紫の背景はないと思う。
雰囲気をつくるため、全体に色を落とす。
闇の文脈をつくるため、服全体にハイライトを足す。
ただライトの前に立っている以上の文脈、
つまり、闇に身をひたしている謎めいた雰囲気が出る。
ジョジョに求められている雰囲気は、こういう感じではないか。
さて。
元の写真は、アニメや漫画の「再現」を試みたように思える。
修正版は、原作の文脈を、「写真の言葉」に変換しなおしたものだ。
元の写真は同じである。
色加工が違うだけだ。
今の宣伝部は、
どのような雰囲気をつくればよいか、話し合っていないのだろうか。
だからこそ、この修正版のような考え方ができないのだと思う。
ところで、
こういうもっと出来のいい宣伝写真がある。
実写版ルパン三世だ。
それぞれのキャラクター単品の写真は、
実に世界観をよく表現していて、
写真の言葉で原作を表現している好例だった。
話の出来は、しらん!
文脈とは、
写真以前に存在するものではないかと考える。
今回でいえば、「ジョジョという世界がもっている雰囲気」だ。
そしてそれを創作することが、
脚本という仕事のはずだ。
2017年01月04日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック