照明の話。
照明とは、光と影をつくることである。
メインライトを光とし、
サブライトを影とする。
技術用語では、
光はキーライト、
影は押さえ、起こしなどという。
キーライトがまず全体の光を決める。
一方から来る硬い(強い)光、
周りからぼーっとくる柔らかい(弱い)光。
色は白が普通だが、
夕方ならオレンジの光、
朝ならブルーの光を使ったりする。
暗い部屋でモニタを見ているときなどは、
モニタがキーライトになるから、
それはブルーのキーライトということになる。
押さえは、影の分量を決める。
キーライトで出来た影を生かす(押さえなし)、
キーライトで出来た影を少し明るくする(起こしとは影を起こすこと)、
キーライトで出来た影をなるべく影をなくすこと(フラットライティング)、
などをやる。
キーライト同様、色をつけることができる。
キーライトと同色が普通だが、
ミックスライティングと言って、
主光源の色と変えることもある。
太陽より強いライトはない(これは照明の基本だ)から、
ミックスライティングが活躍するのは、
夜や室内である。
分かりやすいのはバーやクラブやSFセット内かな。
色とりどりの照明が、下や横からも当たったりする。
弱めのキーライトを天井に取りながらも、
複雑な押さえを当てて雰囲気をつくりだす。
さて、補色ライティングとは、
メインライトと押さえを、補色の関係にすることを言う。
光はRGBで出来ている。
特に映像信号はRGBの割合(0-255)で示す。
R100:G100:B0なら、暗めの黄色だ。
RGBの補色はそれぞれ、
C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(黄色)だから、
R-C(赤と水色)、G-M(緑とピンクまたは紫)、B-Y(青と黄色)
が補色ライティングの基本関係になる。
有名なのはB-Yで、
青い夜に、ポッと小さな灯りがついたような絵は、
この補色ライティングを使っているわけだ。
雪景色の窓外をブルーに、
暖炉のある部屋の中をアンバーにするのは定番だが、
(たとえば北海道シチューのCM)
それはこの補色ライティングを使って、
スタジオで撮影されているわけだ。
(まさかあの丸太の家でロケをしてると思ってないよね?)
ちなみにR-Cの補色ライティングは、
ルパン三世実写版の、ルパンの写真に使われている。
全体のキーライトをCで取り、
差し色の押さえにRを使っている。
夜の世界の危険な男のイメージをライティングで表現し、
かつ補色ライティングなので目立つのだ。
補色ライティングの効果は、
真逆に別れた一本の軸を作ることだ。
ブルーの夜の中に白い光がいるよりも、
ブルーの夜の中に黄色い光がいるほうが、
目立つという効果を使っているのだ。
だから、夜の火事の炎の色は黄色がデフォで、
たまに赤を混ぜる。
僕が初めて補色ライティングを意識したのは、
プロになって「2001年宇宙の旅」を見直した時だ。
月面のライティングが緑のキーライトに対して、
補色のマゼンタを押さえに使っているのを見て、
地球とは違う光(別世界)を表現するのに、
そういうやり方もあるのか、と感心した。
宇宙船内でも、キーライトシアンに対して、
補色の赤を押さえに使っている所もあった。
補色の話をしたのは、
それが表現の一種だからである。
コスプレ写真に見えるのは、
表現が足りてないからだ。
料理にたとえれば、
不味い素材を刺身のまま出してしまったのである。
勿論旨い刺身なら、生のままでOKだが、
それを見極めて調理法を選ぶのは、
料理人の仕事である。
ようやく本題だ。
コスプレ写真には、表現が足りない。
それは、表現力がないのか、
表現をする金がないのか、わからない。
表現が足りないものを、映画とは言わない。
一応脚本論に戻しておくと、
人間関係や性格付けに、
補色の考え方は有効だ。
2017年01月05日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック