2017年01月08日

前後から糸を伸ばしていくイメージ

どういう話にするか、まだ明確じゃないときに、
ぐねぐね考える二つの方法。
前から糸を伸ばしていくのと、
後ろから糸を伸ばしていくのと。


前から糸を伸ばしていくイメージとは、
ある事柄から発展して、
次の展開を考えていくイメージだ。
ストーリーの進展、とも言える。

経験的に、
途中でどんどん詰まらなくなっていったり、
途中で無理のある展開になってしまったり、
分岐で迷ったり、
後戻りするとすごい大変になったり、
する。

分岐をうまいこと使えばストーリーラインを複数同時進行出来るのだが、
その主従を間違えたりもする。

前から糸を伸ばしていくとき、
先細る。
あるいは、行きどまる。
これが欠点だ。
利点は、展開なので自然に考えやすいことである。


逆に、後ろから糸を伸ばしていくイメージ。

これは逆算のことだ。
これが後に来るから、前(直前または伏線)の展開はこうなっているはずだ、
というイメージである。

利点は最後のクライマックスさえ決まれば、
どんどん逆算出来ることだ。
欠点は、後々の都合優先なので、
前から展開を見ていくと、不自然なご都合主義になっていることである。

ストーリーは、自然な展開で、
かついつの間にか用意されていた方向に向かうべきだ。

だから、この二つを併用するのである。
イメージでいうと、
前から伸ばした糸と、後ろから伸ばした糸が出会えば、
それのひとつの解を見つけたことになるわけだ。

数学やプログラミングならば、
ひとつ解を見つければ仕事は終わりだけど、
ストーリーというものは、
それがいかにも当たり前のような自然さと、
かつ面白さが要求される。
別解は、それらをなるべく多く満たさなければならないわけだ。


以前テヅカチャートなるものを紹介した
(ある場面の直前の場面を、なるべく多く発想するブレーンストーミング、
またある場面の直後の場面を、なるべく多く発想するブレーンストーミング。
再帰的に適用すれば、ストーリーの樹系図をつくれる)
けど、
テヅカチャート慣れしていれば、
前からの糸と後ろからの糸が出会う場所を、
飛躍的に増やせるかも知れないね。
あるいは、ある一本の繋がった糸が面白くなくても、
別解を作る能力が上がる、というわけなのである。

勿論これは、第一稿をあげる時だけでなく、
リライトをするときに役に立つ能力でもある。
逆に一個しかストーリーラインの候補を作れないのだとしたら、
それはリライトに対して大変脆弱な原稿だということだ。
僕は繊細な原稿は大好きだが、
それは台詞や言葉の言い回しなどの、
ガワ(ディテール)であるべきだと考えている。
動機や行動や結果や世界の設定などの、
ストーリーの骨子は、
脆弱ならばリライトのしようがないからだ。


最初の設定をちょっと変えてしまえばよいとか、
ここの展開をこうしてしまえばよいとか、
ここを変えてしまうと結論に影響があるとか、
結論を変えるのであればここは変えて良いとか、
この場面を落としても大丈夫とか、
この場面を足すことでややこしくなるとか、
そういう判断が素早く出来るためには、
膨大な経験が必要なのだが、
その一部は、
テヅカチャートの訓練によって、
基礎を鍛えることが出来そうだ。


最後に、
前から後ろから糸を伸ばしていくイメージを、
拡張しておく。

別の所から糸が合流して、
前後が繋がるイメージだ。

前後だけだと、
主人公に限定した狭いストーリーラインになってしまいがちだ。
世界は一人だけではない。
他人の助力や邪魔によって、
ストーリーが進むこともよくあるのだ。
だから、サブストーリーラインの糸が、
本線を繋げる、なんてイメージも持っておくと、
前後だけで糸が繋がらないときに、
重宝するかもしれない。
(あんまり横槍ばっか使ってると、
いざというときに横槍や助け船に頼る話になっちゃうので注意な)


私たちは糸を伸ばしていく蜘蛛のようだ。
前の枝から糸を伸ばして後ろの枝から届かないとき、
逆に後ろから前に伸ばしても届かないとき、
前からの糸と、 後ろからの糸をうまく繋げれば、
機能する巣が出来る。
posted by おおおかとしひこ at 14:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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