どっちを求めて人は物語を見るのだろう。
豪華なレストランか、毎日食べる食べ物か。
女を連れてくのはどっちだ。
大事な食事はどっちだ。
大切な人に食べさせるのはどっちだ。
僕は海外ロケや地方ロケに行くときは、
地元の人が日常で食べているものを食べるのが大好きだ。
普通の観光客は、
その土地の名物とか、一番高いものを食わせてくれと言うだろう。
でも僕はその反対で、
安くていつも食ってる、飽きない庶民の味を食わせてくれとお願いする。
それがその土地を知ることに一番近道のような気がするからだ。
監督という立場上、よく高いレストランで接待される。
それが独自の文化の粋ならば興味も湧くけど、
大抵の接待は、高い金を払ったかどうかで決まったりする。
そんな接待には興味はない。
東京で高いワインの店に連れてかれるより、
魚河岸から来たばかりの魚と日本酒のほうがいい。
大阪で寿司を食うよりうどんを食いたい。
出来たばかりの綺麗な店より、汚い飯屋が大好きだ。
それはみんなが毎日通った証拠だからだ。
台湾の朝粥屋台は、本当に旨かった。
先日のブラジルロケでも、
高いポルトガル様式レストランは普通の味で、
それよりも地元の人が行く汚い店のほうが旨かった。
ブラジル人が毎食焼いた肉を食ってるのも面白かった。
カシャーサ(ピンガ)なる焼酎はキツかったけど、
ブラジル人がビールをチェイサーに飲む意味も分かった。
(チェイサー用に、ブラジルのビールは薄い)
そういう、文化の凝縮のほうが、本質的だと僕は思っている。
凄い映画、この漫画がすごい、
そういうのに意味はあるのだろうか。
僕にとって映画や漫画は、日々の栄養のようなものだ。
すごく高くないし、すぐ手を出しやすいし、
添加物がなくて体に悪くないような、
一生通える定食屋みたいな感じだ。
最近の映画や漫画は、
高いだけの豪華なレストランを目指しすぎじゃないか。
一年に一本しかないんならそうなるかもだけど、
56週公開されるんだぜ。
ということで、
たまには本気出す凄いのも見たいし、
普段永遠に付き合えるのも見たい。
人間は贅沢である。
あなたはどっちを書いてるのか。
逆を目指したり、逆だという批判(それは文句だね)は、
お門違いなんだと知ろう。
その上で、目指すべき完成形をイメージしながらコツコツやろう。
2017年01月13日
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