2017年01月13日

豪華なレストランか、毎日食べる食べ物か

どっちを求めて人は物語を見るのだろう。


豪華なレストランか、毎日食べる食べ物か。

女を連れてくのはどっちだ。
大事な食事はどっちだ。
大切な人に食べさせるのはどっちだ。

僕は海外ロケや地方ロケに行くときは、
地元の人が日常で食べているものを食べるのが大好きだ。

普通の観光客は、
その土地の名物とか、一番高いものを食わせてくれと言うだろう。
でも僕はその反対で、
安くていつも食ってる、飽きない庶民の味を食わせてくれとお願いする。
それがその土地を知ることに一番近道のような気がするからだ。

監督という立場上、よく高いレストランで接待される。
それが独自の文化の粋ならば興味も湧くけど、
大抵の接待は、高い金を払ったかどうかで決まったりする。
そんな接待には興味はない。
東京で高いワインの店に連れてかれるより、
魚河岸から来たばかりの魚と日本酒のほうがいい。
大阪で寿司を食うよりうどんを食いたい。
出来たばかりの綺麗な店より、汚い飯屋が大好きだ。
それはみんなが毎日通った証拠だからだ。
台湾の朝粥屋台は、本当に旨かった。

先日のブラジルロケでも、
高いポルトガル様式レストランは普通の味で、
それよりも地元の人が行く汚い店のほうが旨かった。
ブラジル人が毎食焼いた肉を食ってるのも面白かった。
カシャーサ(ピンガ)なる焼酎はキツかったけど、
ブラジル人がビールをチェイサーに飲む意味も分かった。
(チェイサー用に、ブラジルのビールは薄い)
そういう、文化の凝縮のほうが、本質的だと僕は思っている。


凄い映画、この漫画がすごい、
そういうのに意味はあるのだろうか。
僕にとって映画や漫画は、日々の栄養のようなものだ。
すごく高くないし、すぐ手を出しやすいし、
添加物がなくて体に悪くないような、
一生通える定食屋みたいな感じだ。

最近の映画や漫画は、
高いだけの豪華なレストランを目指しすぎじゃないか。
一年に一本しかないんならそうなるかもだけど、
56週公開されるんだぜ。


ということで、
たまには本気出す凄いのも見たいし、
普段永遠に付き合えるのも見たい。
人間は贅沢である。

あなたはどっちを書いてるのか。

逆を目指したり、逆だという批判(それは文句だね)は、
お門違いなんだと知ろう。
その上で、目指すべき完成形をイメージしながらコツコツやろう。
posted by おおおかとしひこ at 15:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック