2017年01月16日

数を出すとわかること

アイデアは100個出せ。
少なくとも20出せ。

常に数を出す訓練をしよう。


たとえば大喜利番組を見たら、
回答を見ずにいったん止めて、
100考えよう。
プロの芸人と勝負だ。

うちの演出部でも、
時々そういうのを戯れでやったりする。
こないだのは、
「日本のホラー映画っぽいタイトル」と、
「アイドルのキャッチフレーズ」だったか。

ちなみに僕のお気に入り架空ホラータイトルは、
「薬指をよこせ」。
(結婚指輪をもらえずに死んだ女が、
結婚指輪をはめる為の薬指が欲しくて、
次々と女の薬指を切り取る話)


仲間うちで勝負してもいいし、
一人でコツコツやってもいい。
数を出すことは、
自分の広さ(狭さ)を知ることになる。
また、意外に自分はこんなことも発想する、
という発見もあったりする。


で、本題。

数を出すことを経験していると、
100のアイデアのうち、
70は使い物にならないことを知る。
まともなものは三割以下だろう。

どんなにレベルの高いものを100出しても、
そのなかで優劣が生まれ、
やっぱり上位三割くらいが良いということ。

ちなみに適当なものを100出したら、
今度は使えるものがひとつもないという不幸に出会うことになる。
手を抜くとろくなことがない。


数を出すと分かることは、
個々のアイデアには色んな面での評価軸があるということだ。

たとえば、
「日本のホラー映画っぽいタイトル」というお題なら、
怪談ぽいのか、
ネットでありそうなやつか、
Jホラーっぽいのか、
少女漫画っぽいのか、
などに分かれるし、
一見普通なのに実はホラーとか、
キャッチーなのにホラーとか、
暗い感じとか、
逆に明るいと怖いとか、
メジャーっぽいとかビデオリリースっぽいとか、
アメリカで作ったやつっぽいとか、
落ちが読めるとか、
話が読めなさそうとか、
色んな評価軸がある、ということに気づく。

いいやつは、
それら複数の評価軸で得点が高いものや、
ひとつだけ突出してるかのどっちか、
ということが多い。


数を出すと分かることは、
世の中のアイデアは、そうやって評価される、
ということである。


これに慣れていると、
困ったときもなんとかなる。
たとえば、
「主人公大ピンチ!ここから抜け出るあっと言わせる解決法とは?」
と自分にお題を出して、
100考えればいいからである。

大概は無理や矛盾が生まれるけど、
100に1ぐらいは、面白いアイデアに化けることもある。

それは、普段から、
「いかに枠組みに左右されず、柔軟に考えられるか」
が出来ているかどうか、ということだ。
逆に「こういう枠組みからの評価軸もあるよね」
と問題をひっくり返せることが、
柔軟な考えを生む。


面白いアイデアが生まれたら、
それありきで以前を書き換えてしまう手もある。
そうすればこうしたほうが面白い、と更にアイデアが連鎖的に出ることもある。
(それが当初の目的と違いすぎるかどうかは、
全体が見えてきてからあらためて検討すればよいだけだ)


数を出すこと。

詰まらないものを出さないこと。
常に前出したのよりいいものを出すこと。
そうやってもなお上三割しか使えないこと。
なるべく複数の評価軸を想定すること。

プロはそうやって毎日鍛えている。
posted by おおおかとしひこ at 13:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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