2017年01月16日

リズムを意識しているか

言葉は音楽だ。

小説の言葉より、漫画の言葉より、
脚本の言葉は歌詞に近い。

本の言葉は目で読むが、
脚本の言葉は耳で聞く。
脚本は、メロディーのない歌詞である。


だから脚本の言葉は、リズムを意識することが多い。
名台詞は七語調が多い。
だが、台詞一行の範囲だけでリズムがあるか。
否だ。

台詞のやり取りのリズムを、
どんどん短くテンポアップしていったり、
(風魔10話、小次郎と姫子の「ホントに?」のやり取りなど)
逆にスローダウンしたり、
速くしてから間をたっぷりとったりだ。

あるいは、シーン単位でもそれはある。
短いシーンを刻んでスピードを速めたり、
じっくり長いシーンで細かく描いたり、
などを組み合わせて、でだ。

じっくり長いシーンの中で、
速いテンポとスローテンポを使い分けたり、
速いシーンのテンポの中にスローテンポの台詞を混ぜたり。

つまり、台詞やシーンは音楽(リズム)である。

等しいテンポで物事の展開を示したり、
テンポを観客が思うより少しだけあげてドキドキさせたり、
観客にじっくり想像の余地を与えるためにスローにしたり、
あなたは、観客の鼓動の指揮者であるべきだ。

そのテンポが変わる場所は、
当然ターニングポイントだ。
ある台詞、ある動作、あるカットで、
焦点が変わり、テンポが変わって行くのである。


ところで、このテンポというものは、
無意識にやっていることが多い。

大抵無意識に書いた第一稿は、
このリズムがちゃんと取れていることが多い。
だがあとで読み直すことで、
情報の出し入れを調整したり、
ストーリーの展開自体を変えたりするリライトをすると、
そのテンポが乱れて、
ノリが変わってしまうことが、
とてもよくあるのだ。

何故だか第一稿のほうが良かった印象は、
このテンポ感によるところも大きかったりする。

こういうときは、
頭から順に声に出して読んでいくといい。
リズムのグルーヴが異なるところが、
イマイチな所である。

それをノリのよいように変えていくことが、
実はリライトの、教科書には乗っていない秘訣かも知れないね。


脚本は譜面だ。
二時間の音楽の譜面だ。
テンポが影響しないはずがない。
posted by おおおかとしひこ at 22:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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