言葉は音楽だ。
小説の言葉より、漫画の言葉より、
脚本の言葉は歌詞に近い。
本の言葉は目で読むが、
脚本の言葉は耳で聞く。
脚本は、メロディーのない歌詞である。
だから脚本の言葉は、リズムを意識することが多い。
名台詞は七語調が多い。
だが、台詞一行の範囲だけでリズムがあるか。
否だ。
台詞のやり取りのリズムを、
どんどん短くテンポアップしていったり、
(風魔10話、小次郎と姫子の「ホントに?」のやり取りなど)
逆にスローダウンしたり、
速くしてから間をたっぷりとったりだ。
あるいは、シーン単位でもそれはある。
短いシーンを刻んでスピードを速めたり、
じっくり長いシーンで細かく描いたり、
などを組み合わせて、でだ。
じっくり長いシーンの中で、
速いテンポとスローテンポを使い分けたり、
速いシーンのテンポの中にスローテンポの台詞を混ぜたり。
つまり、台詞やシーンは音楽(リズム)である。
等しいテンポで物事の展開を示したり、
テンポを観客が思うより少しだけあげてドキドキさせたり、
観客にじっくり想像の余地を与えるためにスローにしたり、
あなたは、観客の鼓動の指揮者であるべきだ。
そのテンポが変わる場所は、
当然ターニングポイントだ。
ある台詞、ある動作、あるカットで、
焦点が変わり、テンポが変わって行くのである。
ところで、このテンポというものは、
無意識にやっていることが多い。
大抵無意識に書いた第一稿は、
このリズムがちゃんと取れていることが多い。
だがあとで読み直すことで、
情報の出し入れを調整したり、
ストーリーの展開自体を変えたりするリライトをすると、
そのテンポが乱れて、
ノリが変わってしまうことが、
とてもよくあるのだ。
何故だか第一稿のほうが良かった印象は、
このテンポ感によるところも大きかったりする。
こういうときは、
頭から順に声に出して読んでいくといい。
リズムのグルーヴが異なるところが、
イマイチな所である。
それをノリのよいように変えていくことが、
実はリライトの、教科書には乗っていない秘訣かも知れないね。
脚本は譜面だ。
二時間の音楽の譜面だ。
テンポが影響しないはずがない。
2017年01月16日
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