2017年01月25日

目的さえあればいいわけではない

詰まらない話の条件は、
目的のない主人公や登場人物である。
だから、ストーリーを教える人は、
「目的を持たせろ」と口酸っぱく言う。
(それがエセ評論家にも伝わるくらいポピュラーだ。
どんな話でも「この人物の目的が不明瞭」
なんて言えば、評論家の振りをすることも出来る)

しかし、ただ目的を持てばいいかというと、
そうでもない。
その目的に、観客の関心がなければならない。


たとえば。

1. とくに目的がなく、だらだら喋っている。
2. コンビニでティッシュを買う目的がある。
3. トランプ暗殺を依頼された忍者が、ホワイトハウスに忍び込んだら警報に引っ掛かった、
このドアの向こうにトランプがいるはずなのに!

では、3が一番関心を惹く目的である。
トランプを出したのは、世界設定をする必要がないからだ。

2が3を凌駕するほど関心を惹くためには、
トランプ暗殺の世界よりおもしろく世界を設定したり、
設定しなくとも激しい感情移入を伴えばできるかも知れない。
(二次創作は、激しい感情移入をつくらずに、
既にある感情移入から始めるジャンルである。
相変わらずドラマ風魔を例に取れば、
「コンビニでティッシュを買ってくれば赦してやる」
と夜叉姫に言われた壬生、なんてのを想像すれば、
壬生好きな人なら、3よりも関心を惹かれるだろう。
僕が二次創作をアマチュアの領域として踏み込まないのは、
創作というのは感情移入を作ることから仕事だと考えているからだ)


つまり、目的のあるなしではなく、
その世界に浸っているかどうかなのだ。
目的が明瞭だとしても、心が惹かれなければ詰まらない。
目的が不明瞭なら、焦点がぼやけて、これも詰まらない。
目的が明瞭で、かつその先に関心があるときのみ、
話は面白くなるのである。

「成功できるか失敗するか」というシチュエーションのとき、
明らかに失敗するとか、明らかに成功すると、
事前に読めていては関心が離れる。
どっちか分からないとOKかというとそうでもなく、
そもそもその成功失敗に興味があるように誘導できていなければ、
なんの意味もないわけだ。

遡れば、最終的に第一ページに原因があったりする。
あるいはセカンドシーンあたりか。

興味や関心の誘導が出来ていて、
はじめて明瞭な目的があると、
焦点がはっきりしていて面白いのである。

どうして人は、この話に興味深く入っていくのか。
それをコントロールするのが、あなたの仕事だ。
posted by おおおかとしひこ at 12:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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