2017年01月26日

反対する人が必ず出てくる

物語では、
何かをしようとしたら障害が現れる。
その障害を乗り越える過程(や結果やそもそもの前提)が、
ストーリーだといえる。

ところで、障害というと非人間であるイメージがあるので、
この専門用語はよろしくない。
障害は殆どの確率で人間だ。
要するに、
物語の中の登場人物は、
「何かをしようとしたら、反対する人が必ず出てくる」
のである。


障害が非人間であるとは、
たとえば、
大自然の嵐とか、
寒いとか、
物理的な距離が遠いとか、
金が足りないとか、
不景気だとか、
そういうものである。

しかしそればかりを乗り越えるのは、
単なるロビンソンクルーソーに過ぎない。

役者が役を演じて、他の役と何かを表現する、
演劇や映画ではない。
逆に映画とは、人間関係を描くのが根本だ。
(僕がシンゴジラを認めないのも、
人間関係の構築がぬるいからである)

勿論、人間関係だけでなくて、
非人間が障害になることもある。
閉ざされたドアをぶち破る、
崖から飛びうつる、
爆弾を解除する、
なんてのはポピュラーな障害だろう。
しかしそればっかりやっていても、
映画を見た気にはならない。
(ためしにそればかりを編集して二時間もたせてみたまえ)
映画を見た気になるのは、
どっぷり人間の中に入ったときに限る。


独り暮らしで誰とも関わらない人は、
ストーリーにならない。
(多くの初心者が書く詰まらない話は、
独り暮らしの男が一人で日常の何かをして、
ほくそえんだり傷ついたりするやつである。
それはその人の一人称日記に過ぎず、
その人の「さみしい」という心の記録に過ぎない)

逆にいうと、ストーリーとは、
他者とのかかわり合いのことである。

何かをしようとしたら、
必ず反対者が出てくる。
それをそうじゃない状態にすることが、
ストーリーなのだ。

(賛成!ってなったら、二秒で終わってしまうわけだ。
二時間かかるストーリーというのは、
複雑な反対が沢山あるということだ)


反対する人が出てきたら。

普通は説得するだろう。
向こうのメリットを考え、取引に出るかも知れない。
ある程度は妥協するかも知れない。
悪いやつなら殺して排除するだろうし、
狡猾なやつならスキャンダルで脅して封じるかも知れない。
どうしても互いに引けないなら、
戦うしかない(法廷、ケンカ、戦争、クレバーな戦い方など)。

反対者は一人とは限らない。
反対者にも味方はいるし、
別の意見Cの人もいるだろうし、
DもEもでてくるかも知れない。

これらをすべて、コンフリクトと呼ぶわけだ。

コンフリクトは、対立や衝突と訳すべきだというのは、
ここの主張のひとつだが、
「誰かに誰かが反対すること、およびその行方」
をコンフリクトだと思った方が、
ストーリーが書きやすくなるのではないかと思う。

コンフリクトはひとつとは限らない。
反対者が複数いるかも知れないし、
味方が考え方を変えることもある。
どれかの反対や賛成は、嘘だった(ふりだった)こともありえる。

これらのうち、
「この反対(対立)を納めれば万事解決
(あるいは以下の小事は処理できる)」になるものを、
メインコンフリクトと呼んでいるわけだ。


誰かが何かをしようとする。(目的、動機)
そしたら誰かが反対する。(コンフリクトの発生)
それを押さえたりなくそうとする。(コンフリクトの展開)
それが解消される。
相手が反対を取り下げるか、死ぬか、こちらが考えを変えるか。
(コンフリクトの解決)

これらの構造が、どのコンフリクトにも存在する。
大小あれど、最後には全部円満解決していて、
その解決に意味のある含蓄があること。
(意味のないのは反省なき人生と同じだ)
それが、ストーリーである。


コンフリクトというと、
闘争とかバトルばかりイメージするけど、
ラブストーリーだって「反対する人を口説く」だし、
独り暮らしを止めようとする親の話だって、
各方面の利益を調整するために奔走するビジネスマンだって、
コンフリクトを抱えているわけだ。

逆にいうと、
「反対する人をどうやって口説き落とすか」が、
ストーリーの醍醐味だと言える。

物理的な障害を乗り越えるのは、
力さえあればいいから、
この醍醐味に比べれば、ちっとも面白くないということが分かるだろう。
(アメリカ的なパワーマッチョの話が面白くないのは、
つまりはそういうわけだ)


反対する人が必ず出てくる。
話はそれからなのだ。

(そしてハッピーエンドとはその交渉を勝者側から描いたもの、
バッドエンドは敗者側から描いたもの、
ビターエンドは痛み分けを描いたもの、
と言えそうだ)
posted by おおおかとしひこ at 13:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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