2017年01月30日

ボトムポイントは、自分の内面と向き合うことになる

ブレイクシュナイダーが「死の予感」とBS2で定義している、
ミッドポイントと第二ターニングポイントの間に来る、
一番沈んだ部分。

第二ターニングポイントが
「光明を見出して最後のチャンスに賭ける決意」
だとすると、その夜明け前の最も暗い部分がこのパートに来ることが多い。


そのとき、おそらくは自分の欠点に向き合うことになるだろう。
誰にも明かしていなかった秘密が暴露されるかも知れない。

いずれにせよ、物語において「使われない伏線」はないわけだから、
欠点や秘密がそれより前にあれば、
作品が終わるまでには必ず、
白日の下に晒される時が来るわけである。

そのタイミングはいつでもいいし、
何個あってものだけれど、
最もキツイやつはボトムポイント、
すなわちおおむね全体の3/4の、ちょっと手前の場所になるわけだ。

ここからどう克服するかとか、
どう逆転するか、という物語のネタは、
あなた自身が書かなければならないが、
一番落ち込む場所はここだ、というのが三幕構成理論の予言である。


で。
もしきちんと主人公の内的問題をきちっと定義しているなら、
ここがそこと向き合い、一皮むける為の試練を突破する、
エピソードが挿入される筈だ。

たとえば「ズートピア」では、
差別発言を公衆の面前でしてしまったウサギが、
警官にならなかったキツネに再会しに行くシーンがそれに当たる。
主人公は一番内面的にキツイ試練を突破しないかぎり、
前には進めないわけなのだ。

以前にも指摘したが、橋の下のトンネル的なビジュアルが、
「死の気配」を色濃く表現している。
内面のドラマだけではビジュアル的に物足りないと感じた監督が足したのか、
最初から脚本にあったのかは不明である。

いずれにせよ、このボトムポイントで、
最大の内面の試練を突破しなければならない。
どうやってかは、脚本家の腕のみせどころなわけだけど。


あなたの物語の中で、
主人公は自分の何と向き合うことになるのか。
そしてそれをどうやって乗り越え、
第二ターニングポイントという「勝利への可能性」を
見出すのか。
そのもっとも劇的な「内面の逆転劇」は、
ボトムポイントから第二ターニングポイントの流れをつくるだろう。
posted by おおおかとしひこ at 19:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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