ボトムポイントに限らず、
ピンチからの脱出には、
困ったシチュエーション(ときに絶体絶命)と、
脱出法がペアで存在する。
その脱出法に、アイデアがあればあるほど、
話は面白くなる。
誰でも思いつく解決をしても平凡だからだ。
(難しすぎる解決は、正しいとしてもよく理解されないだろう。
ピタゴラスの定理は使えても、ベルヌーイの定理は使えないだろう)
あっと驚く解決法を毎回思いつけるならば、
なんの問題もない。
しかしそうそううまく行くわけもない。
そこで使えるのが伏線なのだ。
既に言及していたこと、
直前よりも前に言及していたことと関係して、
解決法をひねり出すと、
なるほど、となりやすい。
(勿論、あとあとこれは使われるんだろ?
と伏線としてバレバレになるのはいまいちな伏線の使い方だ。
しかし記憶に残さなければ、
「前に言ったよね?」が通用しない。
以前にも議論したが、
最も効果的な伏線は、
鮮烈な記憶Aを、別のBとして使うことである)
ところで、
伏線として最も効果的なものは、
最も遠い所のものを使うことだ。
一番遠いとは、すなわち冒頭シーンということになる。
「最初からそれは仕込まれていたのかあああ」と、
皆が驚き、膝を打ち、感心する、
一本に一回しか使えない大技である。
ボトムポイントは、
主人公の最も内面のピンチなのであった。
ということは、
最も効果的で見事な解決法は、
冒頭シーンに伏線が張られていることになるわけだ。
こういうわけで、
「冒頭に、主人公の問題点や悩みを示せ」
(外面的な事件はそのあとに起こる)
という経験則が導かれるのである。
これは、ボトムポイントから第二ターニングポイントを書き慣れ、
かつ伏線をうまく使えて、
かつダイナミックでアイデアに溢れた、
解決法を書いた人間だけが分かる法則なのだ。
ただ教えの通りに、盲目的に、
ファーストシーンで主人公がため息をついているだけでは、
何も面白くない。
それは内面の問題を示すと共に、
ボトムポイントの大逆転の伏線にならなければならないのである。
(僕が見事と誉める「ズートピア」では、
冒頭シーンでは肉食と草食の話、
つまり差別についての刷り込みと疑問が提示されているわけだ)
こういうわけで、一幕は難しいと言われる。
ベテランなら、一幕を最後に書くかも知れないね。
あなたの主人公は、
自分の内面の最大の問題点に、
どのように直面するのか。
そしてそれをどう回避ないしは克服し、
自らの目的の勝利に結びつけるのか。
(ここで他人の力を借りるのはナンセンスだ。
自分自身の問題を他人に頼るやつは、
メアリースーでしかない)
ボトムポイントがうまく書ければ書けるほど、
夜明けの光は強くなる。
夜明けはボトムポイント明けで訪れてもいいし、
第二ターニングポイントでも、
クライマックスでも構わない。
2017年01月31日
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