彼らは何のために集まったのか。
同じ目的があるからである。
物語の中で、
人と人が集団を組むときは、
日常でないときである。
つまり、
非日常において、日常でない集団が組まれる。
分かりやすいのは特攻野郎Aチームみたいな、
対犯罪スペシャリスト集団だ。
アベンジャーズも、日常の敵でないスペシャルな、
非日常のとんでもない敵に対して組まれた集団だ。
(インフレになっちゃうが)
ある日常でない目的のため
(それはセンタークエスチョンの解決のためである)
に集まった集団の話は、面白い。
日常で隣り合うことのない人たちだからだ。
作者から見れば、
そんな異質な集団を作るために、
事件と解決の大筋の糸をでっち上げている、
という見方すら出来るだろう。
ところで、
その目的を完全一致させないことがコツであるし、
リアルというものだ。
AはAなりの目的をもってその集団に参加しているし、
Bはまた別の目的Bだし、
CDも違う。
しかし大筋の目的はなんとなく共通、
そういうときに話は面白くなる。
何故なら、集団内で揉め事が起こり、
かつ大同団結するからだ。
部活でもサークルでもいいし、
合コンでも会社の部署でもいい。
非日常の為に集まった集団は、
微妙に揉めるし、そこで共通点を探り合う。
それは、非日常のキャラが立っていれば立っているほど面白くなる。
典型的なロードムービーに、
刑事と泥棒が手錠に繋がれたまま、○○まで行かなければならない、
なんてやつがある。
(先日、傑作「ミッドナイトラン」を紹介した)
これも、非日常の集団という見方も可能だ。
同じ目的があるのだが、
違う目的もあり、
その揉め事や駆け引きが面白いのである。
日常なら家族とやってるこういうことも、
舞台が非日常で、目的も非日常で、
組み合わせも非日常だと面白くなるのだ。
また、人の目的は必ずしもひとつではない。
会社で働く目的は、
大きくは金稼ぎであるが、
その会社のことが好きだったり、
その業界が好きだったり、
好きな人がそこにいるからだったり、
通うのが楽だからだったり、
するものである。
それぞれに大事にしてることは違うし、
それが集団のパワーにもなるし足枷にもなる。
だからAはAという目的があるのだが、
共通目的XをAから引いた、A-Xの部分を持っている。
同じく、B-X、C-X…などとあるわけだ。
Aは誰にも言っていない別の目的A2があるかも知れないし、
それはB-Xと全く相容れないかも知れないわけだ。
カップルが付き合うのだって、
「お互い一緒にいたい」という共通目的があるが、
金の打算や腰かけや肉欲や、
権力がほしいから、なんて、
別のファクターがあるかも知れないわけだ。
で、共通の目的が失われたときや、
別の目的が共通目的より大事になったときに、
別れると。
自分の夢を大事にするために別れる、
という一見意味の分からないことも、
そういうことである。
じゃあ逆に、違う目的を持った人が、
ストーリーの流れで共通目的を持つ場合もある。
典型的なラブストーリーで考えると、
最初はケンカばかりしていた、
出会った二人は、
共通の目的が出来ることで協力したり反発したりしているうちに、
新しい目的が出来るのである。
「この人ともう少し一緒にいたい」という目的が。
簡単な例は、転校してきたばかりの跳ねっ返り者と、
文化祭委員を一緒にやらなくてはいけないヒロイン、
みたいな例でシミュレーション出来るだろうね。
(二人の親密性を増すには、秘密を打ち明けることが効果的であった。
仲間意識やギャップ萌えのチャンスなわけだ)
勿論ラブストーリーでなくたっていい。
エクスペンダブルズみたいな集団でも、
忍の一族でも、
未確認現象追及チームでも、
報道集団でも、
なんでもこのことは成立する。
おそらく個人の目的は、
そのキャラクターの人生の目的が、
少し含まれる。
だから、目的に対して行動したり決断したり、
断念することは、その人の人生の目的を左右したりする。
そういうのを、人間ドラマ、というのではないだろうか。
2017年02月09日
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