これを作ったことがないのなら、
作ってみるといい。
名前、年齢、性別。
生年月日、星座、血液型。
身長、体重、成績。
家族構成
住んでるところのこと
趣味
好きな食べ物、ファッション、音楽、その他フェイバリット。
嫌いな、同
信条や哲学
好む行動
性格を表すエピソード
基本性格
カッとなるとどうなるか
誰にも言ってない秘密
何が怖いのか
スペシャリティ(特技など)
過去に傷があれば
そのこだわりは何から生まれているのか
年表を一年一行で書くこと
(精々100行、デーモン小暮などは除く)
両親についてもやる、三代前からやる人もいる
これぐらいかな。
そのキャラを掴むことに、
もっと項目が必要なら何でも増やせ。
足のサイズからDNA鑑定まで、
何でもかんでも履歴書にしてしまえ。
さて、これをやるのは超楽しい。
創作の初心者はこればっかりやって、
ちっともストーリーを書かないくらいだ。
キャラ立ちだけなら、この履歴書を書くだけで終わりの、
簡単なお仕事である。
これが楽しい段階を過ぎて、
実用段階になるのは、
最低五人の履歴書を作るときだ。
荒木も著書で述べているが、
そのうち「かぶる」のである。
つまり、自分の持ちネタが、
たいして多くないことに気づくために、
この履歴書は徹底的にやってみるといい。
自分の中で、どれだけ
「まるで他人の、全然違う人物像」が構築出来るか、
という訓練に最適な方法論ではある。
さて。
で、応用段階というか、実戦段階。
実戦ではこの膨大な履歴書の、
全スペックを使うことはない。
使っても五個ぐらいじゃないかな。
てことは、
「その人のキャラの濃い、
強いなにかをひとつだけつくること」
に気をつけなければいけないことに、
自動的に気づくはずだ。
それが被らないように、
たとえば五人分作れれば、
どうせ使わない履歴書なんて、
適当に埋めてればよいことになる。
むしろ履歴書なんて全部作らずに、
「その人の強いなにかが、
どうやって誕生してきたのか」
に関わることだけを埋めれば、
実用上問題なく、
その他の要素は全てノイズであることが、
分かると思う。
(使わなくても決めておくと、
二次創作には使いやすいだろう。
しかしここで論じているのは、一次の話だ。
昨今のものは、二次がやりやすいように、
公式がこのような履歴書を作り込んでいることが多い。
つまりそれは、一次に必要な情報量以上に用意されているにすぎない。
勿論、一次にとっては、まるまる不要な労力であり、
本編を書くことに才能のリソースを使うべきである。
たとえばドラマ「風魔の小次郎」の公式ホームページでは、
そのような設定がいくつも散りばめられている。
本編で全てを使ったわけではない)
つまり、履歴書を埋めることに、
ほとんど意味はない。
必要なところを深く詰めるだけ詰めて、
あとは設定しない、
というやり方が、最も合理的なエネルギーの使い方だ。
そうすると、
あとで追加変更しやすいのだ。
(ごついオッサンで辛い過去を持ったキャラクターの癖に、
飯を食うときに急にバナナを食べたがる、
なんてエピソードをその場で思いつける。
これは最初から設定してもいいけれど、
ギャップを作るには意外性があったほうがいいから、
その場の思いつきのほうがスピード感があると思う。
勿論履歴書に追加で足しとくべきではあるが)
また、色んな履歴書の各スペックは、
作中で変化することもあることを、
忘れてはならない。
昨日までの好物が今日もそうとは限らない。
人間はロボットではない。
変化を前提とした生き物である。
それに、変化を描くことがストーリーだ。
だから履歴書は、「ストーリーという変化」に参加する前の、
工場出荷状態(デフォ)でしかないということを覚えておくといい。
さらにいえば、その初期状態が、
真逆に書き換えられてしまう経験こそが、
これから書こうとするストーリーなのだということを、
理解しておくべきだ。
とすると、
詳細すぎる履歴書は、
変化を描くには、自分への無茶ぶりにしかならないわけだ。
一番大事なことだけ書いておいて、
そのキャラクターの最も濃く強いところだけを決めて、
その変化だけをきっちり考えたほうが、
合理的な力の使い方ができると、
僕は主張するわけである。
あとは、些末なこと。
僕がキャラクターを詰める、というのは、
「魅力的な濃いひとつに到達するまで、
ああでもないこうでもないと試行錯誤する」ことに近い。
また、「どうしてこうなったのか」を作っておくと、
「この先にどうなるのか」をつくりやすい。
人は点ではない。線だ。
そしてその線を描くのがストーリーである。
履歴書を埋めることは楽しい。
とくに穴埋めをするのは、日本人はとても好きらしい。
でも穴埋めをするのは、
誰かが掘った穴というテンプレを埋めているに過ぎないことに、
そろそろ気づくべきだ。
創作というのは、テンプレで出来ることを言わない。
テンプレで出来ることは、創作ごっこだけである。
2017年02月11日
この記事へのトラックバック
作った方が良いと思いますか?
とてもいい質問です。
ここでは狭いので、記事形式で書きたいと思います。