前記事の続き。
説明するべきことと、
説明しなくてもいいことの、
二つを腑分けするには、
全体が決まらなければ判断できない。
ガンダムで、
ミノフスキー粒子のため有視界戦闘しなければならないことは、
説明するべきことであるが
(説明しなくても本編にはあまり関係ないけど)、
そのミノフスキー粒子がどうやって出来たかとか、
ミンコフスキー空間のネーミングのパクりであるとかまでは、
説明しなくてもよい。
それは、ガンダムのストーリーが、
ミノフスキー粒子の謎に迫るストーリーではないからである。
もしミノフスキー粒子の謎に迫るストーリーならば、
これらの説明は必要で、
むしろ有視界戦闘かどうかは説明しなくてもいいかも知れないわけだ。
説明は、つまり、
全体で決まる。
「私はあなたを幸せにしたい」とプロポーズで説明することは、
とても必要だろうけど、
「実は浮気してます」と説明する必要はない。
今後墓の中まで持っていければ、の話だが。
つまり、その世界に存在してても無関係なものは、
説明を切るべきである。
さて、
伝統的に映画には説明を洗練する方法がある。
「絵で見せる」と「知らない人を出す」である。
絵で見せる:
「ナイフは、小さく鋭利で固いものであり、
これで人を殺すことが出来る」
ということを説明しなければならないとしよう。
これを台詞で説明する人はいない。
リンゴをナイフでむいたり、
ナイフを壁に投げて刺したり、
鳥や猫を投げナイフで殺せばいいだけの話である。
台詞は必要ない。
無言でやれば説明を聞いて、理解しなくてもいい。
百聞は一見にしかずである。
「彼女は彼のことが好き」を言葉で説明しなくてもよい。
集団でいるとき、彼女の目線がいつも彼を追っているように描けばよい。
人間は、想像できる生き物である。
ナイフが壁に刺されば、
人間に刺さったときどうなるかぐらい想像できる。
「ちなみにこの刃はセラミック製で、
金属探知機に引っ掛からないんだ」と説明したあとに、
大統領のパレードがやってくれば、
「彼はそのナイフで大統領を殺そうとしている」
ということも想像できる。
説明とモンタージュは、
このような人間の想像や連想力を借りて、
組み合わせていけばいいのである。
コツは、
絵で説明したことと、
言葉で説明することを別のことにすることだ。
ナイフは人を殺せることを絵で示し、
それはセラミックであることを言葉で示し、
大統領が来ることを絵で示す。
そういう風にコンビネーションを組んでいくのである。
彼女が彼を追っているときに、
「またみんなで来ようね」と彼女が言ったら、
「次は彼と二人で来たい」という意味か、
「彼が好きだと悟られないようにしている」という意味に、
取れるものである。
絵と台詞(非言語と言語)は、
このように組み合わせて使うのがよい。
知らない人を出す:
そのことを知らない人を出して、
彼の質問に答える形式で説明をしていく。
「え、それどういうこと」
「聞いてないよ」
「何なのそれ」
「一体何が起こってるんだ」
「秘密があるんだろ?」
などの台詞は、
次に説明を誘導するための枕詞みたいなものだ。
学習漫画なるものは、この問答形式で、
説明をするように組まれたものだ。
もっとも、説明が長すぎると飽きちゃうんだけどね。
誰がこの時点で何を知っていて、
誰がこの時点で何を知らないか、
表にして管理すると、説明役と聞き役を一定にしなくて済む。
逆に、
バカを毎度一人入れておく、
博識キャラを一人入れておく、
のはよく漫画で使われる基本だ。
(キン肉マンにおけるジェロニモ役、男塾における雷電)
ジェロニモや雷電がいなくても、
「事情を知ってる人」と「事情を知らない人」
をうまくその場に居合わせさせれば、
どちらかがジェロニモで、どちらかが雷電になるだけだ。
これらを組み合わせれば、
たとえばこういうこと。
〇研究所
博士「新型爆弾が出来た!」
と、ひとつまみの粉を見せる。
助手「どこが爆弾なんです?」
〇廃屋
博士、その粉を壁に塗り、
離れて、導線に火を付ける。
二階建ての廃屋、大爆発して吹っ飛ぶ。
助手「マジすか!!!」
博士「ホワイトハウスはこれぐらいで吹き飛ぶな」
と、握りこぶし大を作ってみせる。
知らない人、知ってる人、
謎を振って知りたくさせること、
絵でみせること、
想像させること、
これらをコンパクトに収めてみた。
参考までに。
2017年02月15日
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